僕の火は灯籠に入った小さな火のよう
いつ吹き消されてもおかしくないくらい
弱い弱い役に立たない火
誰かに助けを求めたいが言う口がない
口があれば声が出れば小さな火でも大きくなるのだろうか
空は新月
不完全な僕
偶々同じものを持つ人達が偶々揃ったから
それが普通となる
それからはみ出した人達は疎外される
「完璧な人なんて居ないんだよ」なんて言うけれど
世の中「完璧」を求めてくるから
「完璧」でない人は
「完璧になろうとする」人になる
完璧にならなくてはいけないから
どうしても、『不完全』が目立つんだよね
不完全を無くそうとするから余計に不完全になる
不完全を見せない為に仮面を着けた
最近は仮面にひびが入ったようだ
今までに何枚の仮面にひびが入っただろうか
また、新しいものを作らないと。
空は曇天
雨に佇むその人影は傘も何も挿さずにいた
雨に佇むその人影は何処か寂しそうに見えた
雨に佇むその人影は主の居ない影のようだった
雨に佇むその人影は雨が止むと共に消えていった
いつか、その人影に傘を貸す事は出来るだろうか…
雨に打たれるその人は自分と似た人影だった
空は曇り
ガラスの向こうで忙しそうに行き交う人々を横目に私は目の前に並べられた、いや目の前に座る二人に唖然とした。
「あ、すいませーん。ザッハトルテ一つ」
二人の片割れが店の者に注文した。それに続きその片割れも注文をした。
「すいません。ケーキお代わりで追加でタルトも」
店員の軽やかな声が聞こえてくる。
ここは何処にでもある普通のスイーツ喫茶、そこで''ただ''の休憩をする為に赴いただけだ。
そう''ただ''の…普通の休憩
「イヤイヤイヤ、まだ食べるおつもりで!?」
「「うん」」
「すいません、少し眩暈が…」
ただの、普通の、休憩ではあるのだ。
ただ、目の前の注文の量がえげつないのだ。
「今までにどれ程注文したのか分かっていますか!?」
「「え?」」
「…え、な、なんですか」
お二人はきょとんとした顔を浮かべ私を見てきました。こうなるとこちらが間違っているかのように思えてきて少々焦ります。
「「まあまあ」」
「…」
内心叫び出したいくらいです。
二人はマイペースと言うのかなんと言うのか……
「このお皿と容器の量を見てください!もう机が埋まってしまいましたよ!!?」
ある程度はお店の方が下げてくれましたが、下げられたらそれでどんどん注文をしていきました。
「第一、この量を本当に食べられるのですか?」
「「食べれる」」
大体さっきから何故同時に喋るんだ、お二人は双子ではありません。証拠に姓も顔も違います。
ただ、甘いものに目がないのです…。
「ほとんどの皿は彼のだけどね」
「何言ってんのおまえもそれなりに頼んでる」
「私からしたらお二人共同じくらいですよ…」
向かいに座る相席の方々はその後もスイーツを食べていた。
この人達とは向かい合わせで座りたくない…いや、同じ席に座りたくない。
一番の理由はコレだ。
「すいませーん。青い春の一時を甘酸っぱい恋で仕立てたケーキと甘く赤く熟れた青春の果実のパイを追加で」
「すいません。きゃピきゃピるんるんケーキと魅惑のニャンニャンラテも追加で」
私は先に帰ると二人に言い席を立った。
今思えばお二人と私とでは年齢が多少離れているだからか、だからなのか?何故あんな恥ずかしげもなく涼しい顔してアレを注文出来るんだ!!?
↑この人二十前半
二人←十八
因みに三人は男である。
空は快晴
小さい頃から空を見るのが好きでした
空の色も好きだったからです
雨でも晴れでも曇りでも
自分の心中に存在する空とは全然違うからです
どんな空も綺麗でした
そんな空を飛べるものが羨ましく思いました
何を思っているのは知りませんが
自由に飛んでいるように見えて
風にのって飛んでいく飛べるものが羨ましかった
いつか自分も飛びたい
鳥のように
羽を持つもののように
自由に飛びたい
空には一筋の飛行機雲