【子どものように】
あなたは、いつまでも子供のようだった。
夕焼けの太陽を持って帰ってこいと癇癪を起こしたり、
時にはご飯を美味しそうに食べる姿さえも愛おしかった。
僕は、「あの日の事件」から子供に戻ったあなたを大事にしていきたい。
【カーテン】
カーテンは今でも閉め切られたままだ
もう何年も、私はここで閉じこもっている。
ある日、窓を叩く音が聞こえた。
恐る恐るカーテンを開けると、悪魔がいた。
彼…いや、ジルは私を異世界に転移させようとやってきたのだ。
不思議な力…大きな猛禽の胎内に飲み込まれ、私は違う世界の母親の胎へと宿った。
目が覚める、どうやら俺の名前は××××らしい。
前世の記憶もあるが、今はどうでもいい
今の俺は、××××だ。
閉め切られた遮光カーテンを開けたから、
今の俺がいる。
【束の間の休息】
「ふぅ…」
コーヒーを飲み、徹夜明けの身体をほぐしながら机に戻る。
私は小説を趣味で書いているのだが、そのアイデアが溢れ出てきたから書きとめている最中だったのだ。
これが、私の休息。
これが、私の現実逃避でもあったのだ。
ある冬の夜、星を見た。
きれいな星だったし星座に詳しくないからよくわからなかったけれど、とても綺麗な星だった。
あの冬に澄み渡った空の下で出会った星……
僕はまた、出逢えるのだろか。
文字ほど星の数ほどあるこの天体の中、この場所で天と地を分けて出会った貴方に。
貴方に、また逢いたい。
「踊りませんか?」
あいつは雨の夜、公園のベンチに座って泣いていた俺にそう声をかけるのであった。
2日前……
俺は仕事で、あまりにも酷いミスをやらかして即刻クビを言い渡されたのだ。
そして死のうとしても失敗して、悔しさのあまり街をさまよっていた。
そしてどこだかも分からない公園のベンチに座り、泣いている男が1人…
それが、今の俺だ。
あいつは、俺に手を差し伸べながら「踊りませんか?」と聞いた。
あいつはたしか……《ルカ》と名乗った。
ルカの差し伸べた手をとると、心が軽くなったような気がした。
「私はあなたにとっての天使であり、あなたの敵にとっての死神です。さあ、共に踊りましょう。」
そう言い、手渡したものはひとつのナイフだった。
「俺は……人殺しだけは絶対にしないって決めたんだ……!お前は俺の敵だ!」
俺は、ルカにナイフを向けた。
その手は震え、殺すことをまるでためらうようにも見えるだろう。
ルカはせせら笑うような笑みを浮かべると「私は、あなたが殺したものに関する全ての証拠を消すことが出来ます、さあどうしますか?」
「俺は……」
「俺は全てに復讐したい。」
俺が選択した決断は間違ってはいなかった。
ルカは俺にとっての天使であり、俺の敵にとっての死神であることは間違いではなかったのだ。