テラリウムやアクアリウムを育てるみたいに、地球を観るのがすきな宇宙人たち。
「うんうん。ゆっくりだけどオゾン層、回復していっているね。」
「50年もしたらオゾンホール塞がりそうだね。」
「あとは中の二酸化炭素濃度か。」
「ちょっと濃すぎかな?温度が高めだね。」
「でも人間たちがまた気をつけはじめているからね。オゾン層みたいにきっとよくなっていくよ。」
「そうだね。ボクとしては酸素を出す植物をもっと増やしてほしいね。」
「人間は、ハラスメントっていう感覚の違いから起きる不快な状況も、理解し、改善していこうとしてるよ。」
「そうそう。性別に関する固定観念もなるべくなくして、柔軟にものを見る努力もしているよ。」
「おもしろいねえ。」
宇宙人たちは顔を見合わせて笑う。
「でもさ…
この戦争とか、侵略とか、
どうにかなんないの?」
「地球のあちこちで起きるね。」
「いつまで経ってもなくならない。」
「くだらない。」
「これだけは理解できないねえ。
せっかく作ったきれいなものも台無しにされちゃうし。」
「なんとかなんないのかねえ。」
「ボクたちは観るだけで一切の手出しはだめなルールだからね。」
「まだまだ理想のかたちは遠そうだねえ…。」
「でもきっと理想を捨てなければ変わっていけるさ。人間の多くは平和がすきなんだ。だからこそここまでの変化があったのだろうから。」
「そうだね。
そうであってほしいね。」
青い地球をただ見つめて、そんな話をして、また見にこようね。と言う宇宙人たちなのでした。
「理想郷」
ふっ、と風が吹いた時
懐かしさを感じることがある。
これはいつかに感じた風と似てる。
季節、天気、温度、湿度、風の強さ、時間帯
それらがちょうどよかったのか
まるで地球を一周回ってきた同じ風にまた出会ったような感覚になる。
こんにちは。
ひさしぶり。
でも繋ぎ止めてはおけないから
また いつか。
「懐かしく思うこと」
もう一つお皿があったなら
お菊さんはあんなことになってないし
眠り姫も呪いにかけられずにすんだのかもね。
もう一つお皿があったなら
もう一つの物語が生まれていたのか。
いいや。
物語にならなかったかもしれない。
「もう一つの物語」
暗がりの中で 目を覚ます。
えっっ
どゆこと!?
今、何時?
ちょっと昼寝のつもりがもう夜じゃん。
こわー。
「暗がりの中で」
デートのプランを立てる。
季節の移り変わりや自然がすきな人だから、
山奥のワイナリーに行くことにした。
背の高い並木道を抜けると、葡萄畑が広がる。
ショップやカフェのある広場には、楓の木が何本も生えていて、赤、黄、緑の葉が日差しにきらきらと光る。
星型の葉っぱが降り落ちる。
そんな中、カフェでお茶をする。
葡萄畑を見渡せる、開放的なカフェ。
パンケーキのアイス添えとプリンを頼む。
パンケーキはスキレットパンケーキ。
いわゆるドイツ風パンケーキ、ダッチベイビーというやつ。
プリンはほんとはプヂン。
ブラジル風のプリン。
多国籍だな…
飲み物は紅茶とカフェオレ。
紅茶の茶葉は地元のものらしい。
葡萄畑と紅葉とスイーツと、
全てのものを紅茶の香りが繋ぐ。
「紅茶の香り」