言葉は、毒にも薬にもなる。
《純粋な愛の言葉》
〈用法〉
出し惜しみせずに、口にできる時には口にする。
〈効能〉
自信を与える。
口にした方もされた方も、多幸感を得られる。
「愛言葉」
こんにちは。
ぼくの友達の名前は
…名前は?
いつもそばにいたはずなのに名前がわからないなんて、
そんなこと、ある?
あれ?
そういえばこの子のこと、なんか知ってたっけ?
いつもぼくの隣でにこにこしてて、
話しかけるのはいつもぼくで…
そういえばこの子と会ったのはいつだった?
ずっといたはずなのに
なにも知らない
なにもわからない
「あーあ、気づいちゃった?」
思えばはじめて聞いたその子の声。
「じゃあ、おしまいだね。」
にたりと笑って消えてった。
「ぼくの…ともだちは…」
なんにもせずに消えてった。
これをぼくは喜ぶべき?
でもそれはぼくから友達が消えてなくなることで…
ぼくはこれをどう捉えたらいいんだろう。
「友達」
「行かないで。」
「行かないよ。」
微笑みながら地球とくるくるダンスを踊るお月さま。
ほんとは年3センチほどの間隔で離れていっているのを知っているの。
誠実なのか 薄情なのか。
「行かないで」
『ごめん。きょうは行けそうにない。』
携帯に届く。
日が傾いて薄黄色に染まった寝室で、わたしはそのメッセージをじっと見つめ
その後、まだ袋に入れられたままの、先週末に買ったピアスを取り出す。
半球状のガラス玉がついている。
ガラス玉は下の方で水色と薄青とに分かれていて、あの場所のようだと思って買ったのだ。
先週末の、あの人と行った旅行。
空と海とに分かれた景色。
ガラス玉を見つめながらどこまでも続く青い空を思い出す。
「どこまでも続く青い空」
子供のように、一心に、
高く、高く、跳ぼうとする。
鋭い眼差しは空を睨む。
数歩のかけ足の後、
やわらかな光の中、彼の身体はふわりと浮く。
その瞬間、その光景は、忘れたくても忘れられない。
瞳と心に焼き付いた。
秋晴れの空の下
落下していく彼と視線がすれ違いになった気がした。
始まりはいつも突然で、瞬間だ。
その後歓喜の声が会場内を包んだので、
わたしもいっしょになって声が枯れるまでなにかを叫んだ。
歓喜の声が止んだ後は、
収まらない気持ちをどうしようもなくて、
衣替えで出したばかりのマフラーに、ほてった顔を埋めた。
120作突破記念
「衣替え」
前回 10/13 110作目。
10作ごとぐらいにしている。
これまでのタイトルを並べて繋げたもの。
内容は続いていない。
インターバル的なもの。