今日はおもしろい天気だ。
車で走っていたら、先の方で雲が溜まっているように見えた。
濃霧?視界不良とかやだな…
と思っていたのになんの具合かそこには掠らなかったみたいだ。
でも帰り道にはしっかり捕まった。
前方にまた見えてる。
この辺りに留まっているのかな?
と走っていると突然の大粒の雨。
どうやら雨のゾーンだったらしい。
通り抜けると空が晴れてくる。
雨の辺りはしっかり曇ってたから狐の嫁入りではないだろう。
高速道路の下り坂、
水色の青空と緑に包まれた町が
半分半分になっている。
雨に洗われて、空も緑もピカピカで、とてもきれいだ。
車が鍵の電池が無くなりそうなことを知らせてくる。
ラッシュ時にお店に寄るのはすきではないが電池が切れるのは嫌なのでしょうがない。
コンビニに入り、電池以外も少し買う。
レジにはおじさんと若い男の子。
すごく雰囲気がいい。
男の子は黒髪ツーブロマッシュに金のリングピアス。
だけどおじさんと和やかに話している。
なんていい空気だ。
キャンペーンか何かでお茶2本おまけでくれた。
田舎のコンビニ、最強かよ。
束の間の休息どころか癒しでしかない。
外に出たら大きな虹がかかっていた。
幸せすぎて鼻血出して倒れそう。
「束の間の休息」
バネッサの髪は剛毛だ。
言うことを聞かない硬い赤毛を太い三つ編みに編み上げて、
母親が
「さあ、できた!」
と言った。
鏡の前のバネッサは、きっ、と目を釣り上げた。
「行ってきます。」
箒に跨り手に力を込める。
箒がふわっと浮き上がる。
バネッサは今日から魔法学校に行く。
「力を込めて」
あの頃きみは、色が白くて、くびれのあまりないしっかりとした足をしていて、よちよちとわたしに向かって歩いてきていた。
そんなきみをわたしは
「My little polar bear」
『わたしのかわいいシロクマちゃん』
と呼んでいた。
月日が経って
もうすっかりかわいいシロクマちゃんではなくなったきみだけど、
年頃の、毛並みの美しい狼のように瞬間、瞬間、時折思う。
そんな子に、部活のお迎えなんかの時に、すこし離れたとこで口をパクパクして、
(ちょっと待ってて)
など言われるのは、贅沢なような、もったいないような、無駄遣いなような、うれしいような、複雑な気持ちになってしまう。
これから先、きみが成長したら、わたしはどう思うのかな。
こどもはずっと、どう変わってもかわいいものなのかな。
「過ぎた日を想う」
「…カシオペア、
北斗七星、
オリオン座、
それでこれが秋の大四辺形。」
女の子は星座をなぞって、空にすうっ、すうっ、と指で線を描いた。
ただわかる星座をなぞっただけだったが、
その動きは、まるで魔法陣を描くようでも、
空を指揮しているみたいでもあった。
チリン!
北極星が揺れた。
ド・ド・ソ・ソ・ラ・ラ・ソ
空のあちこちで、鈴のような音とともに星が揺れる。
女の子は驚きで目を輝かせる。
とたん、音の数がたくさんになる。
華やかなきらきら星のメロディとともに星たちが瞬く。
きらきらと、星たちが降り注ぐような夜になった。
「星座」
僕と彼女はカフェでお茶をしている。
窓の外を落ち葉が降るから
僕たちは小さくなってあの星の形の葉っぱに乗ってくるくると
カップの中で渦を巻いてるミルクに乗ってくるくると
踊りませんか?
そんな風に僕といっしょにこれからを過ごしませんか?
そう言うと、彼女は
「あなたは何を言っているかわからないわ。」
と言ってわらって、ミルクの入ったカップをかき混ぜた。
「でも、いいかもね。」
僕も自分のカプチーノに口をつけると、
口に泡のついた姿を見て、また、彼女がわらった。
「踊りませんか?」