些細なことでも、すべてがきらきらと、きらめきになる。
棚の上の貝殻は、時が流れたことを告げる。
あの日、月明かりの中、夜の海で踊るようにはしゃいでいたきみ。
跳ねた雫が襟ぐりの開いた白いワンピース姿の、きみの胸元にまで届いた。
そこに、きみの胸の鼓動を思い、きみの命の在り処を思った。
ほんとうは、僕の胸の鼓動を目に映るきみの姿にあてていただけなのかもしれない。
世界に一つだけの景色だった。
あんな時間はそんなにあるものではなかったのに、僕は、これからそんな時間がたくさんになる、そのうちの一つのようにしかあの時は思っていなかった。
すべては失ってから気づく。
僕に横たわる喪失感。
目の端にカレンダーをとめて、きみと連絡しなくなってからどれだけの時間が流れたのかと考える。
僕には本気の恋だった。
…だったと思う。
きみには?
先日街中で久しぶりに見たきみの隣には知らないやつが親しげにいて、きみは僕の姿を見つけても、なんでもない様子で、いつものかわいい顔で、にっこりと、微笑んでみせた。
80作突破記念
「本気の恋」
7/15 20作 7/27 30作 8/4 40作 8/14 50作
8/23 60作 9/3 70作 突破記念の続き。
これまでのタイトルを並べて繋げたもの。
内容は続いていない。
何作突破記念とか言っているがあくまで目安でけっこうてきとうに発動。
反応に関係なく自分が楽しいのでやってる企画。
インターバル的なもの。
「!!
大変だ!
中秋の名月まであと1週間もないじゃない!」
うさぎがカレンダーを見ながら言った。
「地球まで餅つき用のお米をもらいに行かなくっちゃ。」
「地球では最近お米がないない言ってるらしいよ。」
もう一羽のうさぎが地球から取り寄せた新聞を読みながら言った。
「ええっ!!
それはこまる!
ぼくらのお米はあるかなあ。」
「きっとあるよ。
JAのおじさんとのお約束だもの。」
「そうだね。
JAのおじさんとのお約束だものね。」
さてさて、JAのおじさんはちゃんと今年もお米を用意してくれているでしょうか。
答えは9月17日。中秋の名月の日。
うさぎがお餅つきをしているかどうかで…。
「カレンダー」
ツバメの暮らしは田んぼと連動しているみたい。
稲刈りが終わる頃、たくさんのツバメたちが電線に一列に並ぶ姿を見るようになる。
ピチクリピチピチ
会議でもしているのか。
そして第一陣、第二陣と過ぎていくごとに
あれだけビュンビュンにぎやかだった空からツバメの姿が消えていく。
電線に一列に並ぶ姿は学習発表会の終わりでのあいさつのよう。
そして空は静かな冬を迎える準備をする。
「喪失感」
たくさんのうちの1人でしかない人も
よく見かけるような猫も
ありふれたような花も
自分が特別だと認めた瞬間から
世界に一つだけのものになる。
世界で1人だけの人
たった1匹だけの猫
かけがえのない花
すべてのものに気持ちが乗っかると
瞳に映る景色が変わって
' 世界で一つだけ ' になる。
「世界に一つだけ」
ドキドキ
トクトク
キュン
まではわかるけど
とぅんくって。
「胸の鼓動」