sunao

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些細なことでも、すべてがきらきらと、きらめきになる。

棚の上の貝殻は、時が流れたことを告げる。

あの日、月明かりの中、夜の海で踊るようにはしゃいでいたきみ。

跳ねた雫が襟ぐりの開いた白いワンピース姿の、きみの胸元にまで届いた。
そこに、きみの胸の鼓動を思い、きみの命の在り処を思った。
ほんとうは、僕の胸の鼓動を目に映るきみの姿にあてていただけなのかもしれない。

世界に一つだけの景色だった。
あんな時間はそんなにあるものではなかったのに、僕は、これからそんな時間がたくさんになる、そのうちの一つのようにしかあの時は思っていなかった。

すべては失ってから気づく。
僕に横たわる喪失感。

目の端にカレンダーをとめて、きみと連絡しなくなってからどれだけの時間が流れたのかと考える。

僕には本気の恋だった。
…だったと思う。

きみには?


先日街中で久しぶりに見たきみの隣には知らないやつが親しげにいて、きみは僕の姿を見つけても、なんでもない様子で、いつものかわいい顔で、にっこりと、微笑んでみせた。




80作突破記念
「本気の恋」

7/15 20作 7/27 30作 8/4 40作 8/14 50作
8/23 60作 9/3 70作 突破記念の続き。
これまでのタイトルを並べて繋げたもの。
内容は続いていない。
何作突破記念とか言っているがあくまで目安でけっこうてきとうに発動。
反応に関係なく自分が楽しいのでやってる企画。
インターバル的なもの。

9/12/2024, 9:40:09 PM