「!!
大変だ!
中秋の名月まであと1週間もないじゃない!」
うさぎがカレンダーを見ながら言った。
「地球まで餅つき用のお米をもらいに行かなくっちゃ。」
「地球では最近お米がないない言ってるらしいよ。」
もう一羽のうさぎが地球から取り寄せた新聞を読みながら言った。
「ええっ!!
それはこまる!
ぼくらのお米はあるかなあ。」
「きっとあるよ。
JAのおじさんとのお約束だもの。」
「そうだね。
JAのおじさんとのお約束だものね。」
さてさて、JAのおじさんはちゃんと今年もお米を用意してくれているでしょうか。
答えは9月17日。中秋の名月の日。
うさぎがお餅つきをしているかどうかで…。
「カレンダー」
ツバメの暮らしは田んぼと連動しているみたい。
稲刈りが終わる頃、たくさんのツバメたちが電線に一列に並ぶ姿を見るようになる。
ピチクリピチピチ
会議でもしているのか。
そして第一陣、第二陣と過ぎていくごとに
あれだけビュンビュンにぎやかだった空からツバメの姿が消えていく。
電線に一列に並ぶ姿は学習発表会の終わりでのあいさつのよう。
そして空は静かな冬を迎える準備をする。
「喪失感」
たくさんのうちの1人でしかない人も
よく見かけるような猫も
ありふれたような花も
自分が特別だと認めた瞬間から
世界に一つだけのものになる。
世界で1人だけの人
たった1匹だけの猫
かけがえのない花
すべてのものに気持ちが乗っかると
瞳に映る景色が変わって
' 世界で一つだけ ' になる。
「世界に一つだけ」
ドキドキ
トクトク
キュン
まではわかるけど
とぅんくって。
「胸の鼓動」
僕らは見えない手を繋ぎ合ってまわる。
自転と公転
それぞれに繰り返しながら。
少し近づいたり離れたり、それでもだいたい同じくらいの距離をたもって。
おだやかなようで冷たいような表情のきみ。
どうか離れていかないで。
きみが離れたら地面がぐらぐらしてしまう。
どうかずっと永遠に、こうやっていっしょにまわり続けていよう。
月と地球として…。
「踊るように」