台風一過
少し気温が下がる。
でもまだ暑い。
なのにコンビニで肉まんを見て食べたいと思った。
もうすぐ秋がくることを、わたしの内側が告げている。
「時を告げる」
海にかくれたきれいなものたち
色とりどりの貝の殻
洗って洗って砂つぶに。
いろんなかたちのサンゴたち
洗って洗って砂つぶに。
海に消えたいのちのあとの白い骨
洗って洗って砂つぶに。
いのちのキラメキ
寄せては返す波の中
砕けて砕けて
小さく小さく
洗って洗って
砂つぶに
すべては すべては
海のキラメキに。
「貝殻」
海に落ちた流れ星は、そのあとどうなったのでしょう。
夜の海、波うち際、波が打ち寄せるたび
青く小さな光の粒たちが、透明な水の中でキラキラしてるのは、あれは星が砕けた粒たちでしょうか。
「きらめき」
些細なことでも、あなたを元気にしたいから。
だから、これを、あなたにあげます。
新鮮な、ねずみさんです。
これを、ほら、このようにすると、ね、とてもおもしろいですよ。
やってみてください。
ね、飼い主さん。
「些細なことでも」
やるせない気持ちで
向かい合わせの誰もいない席を見つめる。
テーブルの上には私の日記帳。
あの日、扉を開けると、
雨に佇むあなたがいた。
髪の先から靴の先までずぶ濡れで。
突然のあなたの訪問。
それだけで、もう、言葉はいらなかった。
ただお互いに、しがみつくように抱き合った。
わたしの香水、そんなに強くないのだけれど、あの日のあなたに移っただろうか。
いっそのこと、芯まで深く染み込んでしまえばいいなんて、思ったり、思わなかったり。
「人として不完全な僕は自分勝手なことをした。」
そんなのわかったことなのに。
わたしだってそれは同じでわかっていたのに。
あなたからの何件かの通知。
業務連絡かもしれないというのに
開けないLINE。
どんなことであれ、仕事以外のことなら読むのがこわい。
これからはまた以前のように、ただの仕事の付き合いとしてやっていきたい。
たぶん、あなたもそう思っているはず。
あなたを思い続けるわけでは決してないけど
わたしはこの先結婚なんかはしないのでしょう。
だから、この思い出は日記帳に閉じ込めて、わたしの人生の中でもこんなことがあったという、心の灯火のようなものとして胸にしまっておきたい。
そして同じ灯が、あなたの中でも小さくても灯り続けていて欲しいなんて考えるのは、それさえも、許されないことなのだろうか。
テーブルの上に突っ伏して、少し色のついたようなため息をついた。
70作突破記念
「心の灯火」
7/15 20作 7/27 30作 8/4 40作 8/14 50作
8/23 60作 突破記念の続き。
これまでのタイトルを並べて繋げたもの。
内容は続いていない。
何作突破記念とか言っているがあくまで目安でけっこうてきとうに発動。
反応に関係なく自分が楽しいのでやってる企画。
インターバル的なもの。