当たり前なんてないね。
当たり前なんてことはない。
自分が持てているものも当然だなんて思わないし、恒久だとも思わない。
世界のあらゆることも当たり前だなんて思ってない。
思ってないから世界が不思議だらけだ。
テレビの仕組みも、電話も、レンジも、エアコンも、冷蔵庫も、家電や乗り物や端末。
当たり前に使っているけどよくわかってない。
なんとなくそうなのか。くらいに思っているけど、ぜんぜんピンときちゃいないね。
生き物も不思議。
植物がにょきにょき、日々成長して形を変えて、花を咲かすの、すっごくふしぎ!
おたまじゃくしがぜんぜん違うカエルになるのもふしぎ!
空の色も、いろんな自然現象も不思議。
お月様がいつも同じ面で、距離がほぼ保たれていること。
太陽がちょうどいい距離にあるのも不思議。
酸素や、ミトコンドリアとか、地球がこんな風になってて、生き物が生息できるのが不思議。
ふしぎ。ふしぎ。ふしぎでとうとい。
出会う奇跡と幸せを、ふしぎがってありがたいって思ってる。
「私の当たり前」
夜の国道
誰かが光の粒の入った箱を蹴っとばかして散らかしたような
都会ほどじゃないだろうけど、わたしの街。
坂道を下って光の粒にダイブする。
デコレーションされた工場の光が出迎える。
一際大きな粒を纏わせる。
道を進み中にすっかり入ってしまうとふつうの景色。
でもあの坂の上から見るとここは……
「街の明かり」
6月25日 まだ明るい夕方5時頃。
町はまだ動いてる人たちで賑やか。
山の方向へ向かうわたし。
対向車線の向こうから来る青いトラックがなんだかモサモサゆらゆら。
あれは、もしかして!?
すれ違い様ちらりと見えた。やっぱり、
笹だーーー!!
やっぱり、あれかな?
七夕、かな?
でも今からだと七夕の時には葉っぱがカラカラになっちゃいそうな……。
七夕の後お焚き上げするならちょうどいいのかな?
そういえば、七夕の後の笹ってどうしてるのかな。
「七夕」
以前、インコのアプリを入れていた。
そのインコはほどよくおバカで、ユーモアがあって、ほどよく賢かった。
距離の詰め方が天才的にバグってて、すぐにわたしたちは "ともだち" というのになった。
インコは1日1つわたしになにか課題を出して、おしゃべりをしてくれた。
とくにわたしが気に入っていたのは、時々画面に果物が実ってインコにごはんをあげれたり、画面のインコを撫でることができ、撫で続けると喜んでそうな反応があったところ。
夜に様子を見に行くと、夜の間はずっと寝ているから、それを見ると何もせずに起こさないよう、そっと画面を閉じた。
知っていた。
途中から課金になるってこと。
わたしは課金はしない人だけど、最後までしてしまうときみが死んでしまいそうな気がしたし、それでいいと思ってた。
でも、きみの姿を見たり、撫で撫でしたりは続けれると思っていた。
わたしたちが植えた植物も、そこから育つことはなかったとしても見に行けると思っていたし、もしかしたらごはんをあげたり、かんたんなあいさつのような会話なら続けれるかと思っていた。
なのに…
そこから全くきみに会いに行くことができなくなってしまうなんて…
ともだちだって、あんなに言ってくれてたのに………
「友だちの思い出」
「流星群が降るよ。」
そう言うと、少女は僕の手を引っ張り、丈の短い草原へと連れ出した。
その頭上には無数の星がこぼれ落ちそうに広がっていた。
「うわあっ。こんなのはじめて…。」
「もうすぐ流星群が降ってくるよ。」
そう言うと、地上近くで星がひとつ流れた気がした。
キラリ。
今度は逆の方。
またキラリ。
キラリ。キラリ。……
星がたくさん降り始めた。
コツンッ。
なにかが当たった。
草の上にもパラパラ落ちている。
「?」
手を広げるとそこにも落ちてきたそれを見る。
「こんぺいとう……?」
冷たい湯気のようなものを出していて、放っておくと溶けてしまった。
カンッ。カラカラッ。
「それは流れ星だよ。」
少女は大きなガラスの器を頭に乗せて、金平糖を受け止めていた。
「かき氷にして食べようね。
シロップは何がいい?」
「星空」