#夢をみてたい
彼女は、きっと触れたら壊れてしまう。
ガラスみたいに透き通っていて、
笑うだけで周りの空気が変わって、
名前を呼ばれるだけで胸が苦しくなる。
高嶺の花なんて言葉じゃ足りない。
視線が交わるたびに、
期待してしまう自分が嫌で、すぐに目を逸らした。
もし触れたら、彼女の世界に僕の汚れた影が
落ちてしまう気がしたから。
だから僕は、今日も彼女に何も言わない。
視線を送るだけで、
名前も呼ばず、近づかず、ただ胸の奥で咲かせる。
叶わなくてもいい。
報われなくてもいい。
壊れるくらいなら、最初から触れない。
「僕の夢の中で君は眩しすぎたんだ」
#寒さが身に染みて
待ち合わせの場所に立つ意味も、もうなかった。
それでも足が動かなかったのは、
まだ少しだけ、期待してたからだと思う。
「元気?」
そう聞かれて、頷くしかなかった。
本当は、全然元気じゃないのに。
「嫌いになったわけじゃない」
その言葉が一番ずるいって、
どうして貴方は知らないんだろう。
さよならを告げる前に、
貴方は小さく「ごめん」と言って、背を向けた。
______謝んないでよ
#色とりどり
細かったら、
足が長かったら、
目が二重だったら。
そんな「もしも」を並べるたびに、
今の私は、
どんどん色を失っていく。
鏡の前で比べて、
人の中で比べて、
足りないところばかり数えていた。
濁ってる私は、
まだ好きじゃない。
でもいつか、
この色を否定しない日が来る気がしたんだ。
______きっと、ね。
#冬晴れ
こういう日は、余計なことを考えさせられる。
君に振られた瞬間のことは、ちゃんと覚えている。
情けなかったし、正直、悔しかった。
でも泣くほどじゃなかったし、
誰かに話す気にもなれなかった。
男なんて、そんなもんだと思ってた。
強がってるわけじゃない。
忘れたふりをしているわけでもない。
ただ、終わったものを
いつまでも握りしめていられるほど、
僕は感情に正直じゃなかった。
だから______
もう、君に会いたいとは思わなかった。
#幸せとは
笑った声も、沈黙も、
当たり前みたいに続くと思っていた日々。
失うまで、それがどれほど大切だったのか、
私は知らない。
「好きだよ。」
この言葉が聞けなくなってから______
幸せは、
手を離したあとで名前を持つ。
気づいたときには、
もう触れられないものになる。
それでも——
あの時間を抱きしめたいと思ってしまう。
「幸せとは、あなたが隣にいた時間のことでした。」