冬の寒さが骨まで染み渡る。
雪が静かに降り積もるこの場所で、
私は人生の終わりをそっと抱きしめた。
僅かに残る体の温かみが、
辺りの雪を静かに溶かしていく。
滴が零れ落ちるたび、透明な涙のように、
雪の中に消えていく。
誰もいない。
悲しんでくれる人も、
寄り添う手もないと思っていた。
けれど、自然は私を包み込む。
冷たさの中で、
ひそかに柔らかな温もりが胸を撫でる。
雪の中、微かな声が響く。
「ここにいることが、まだ意味を持つ。」
凍える命の中で、
静かに鼓動が戻り始めるのを感じた。
『透明な涙』
程良い距離感 二人で笑いあう
隣にいるだけで、すべてが居心地がよい
心が満たされていく
ふと遠い記憶の中にいる人と、
今、隣にいる人が重なり合う
夢のように穏やかな時間に、
真実も幻も溶け込んでいく
『あの夢のつづきを』
生き急ぐように、持っている鍵を差し込む。
必死に鍵を差し込み、回そうとするも、動きもしない。
同じことの繰り返し。
最初は好奇心が勝っていた。
しかし、鍵を回すたび、心の中で何かが壊れていく。
熟れてきた今、鍵穴を見るだけで違うとわかる。
わかったふりをする。
本当は合うかもしれないのに、試しもしない。
鍵が独りでに開くわけがないのに、
それでいいのだと、自分に言い聞かせる。
その先に広がる未来が、
私にとってどんな意味を持つのか。
何が待っているのか、今はわからない。
知りたくないと思う自分がいる。
『未来への鍵』
光り輝く星たちは
どれも美しい
私を例えるなら星の屑
光を失い、暗闇に漂う無数の欠片
静寂の影に身を潜め
誰の目にも止まらない安らぎを知る
だから、生きていける
心の中にだけ残る
小さな光を抱きしめて
それでも、いつか
せめて一夜の流星となりて
空を裂き、
ひとひらの光で儚く消えたい
『星のかけら』
漠然とした自分の意思さえも、流れに呑まれ、自然と足が前へ進む。風に乗る船のように、抗うことなく。
突然、自分の中に熱が宿ったような感覚に包まれる。
背後から押し寄せる見えない波が、すべてをさらい去るように。
胸の奥に眠る意志が、静かに目を覚ます。囁くような声が、確かにそこにある。
たとえ行く先が間違いだったとしても、この流れに乗る心地よさだけが、この瞬間の舵を取っている。
『追い風』