お題『ありがとう、ごめんね』
感謝の言葉から始まって、謝罪の言葉で終わる。
私はいつも謝罪からはじめてしまう。自分を守るために。私の性格を考慮すると、私は相手を思いやる気持ちがないんだろうと思う。
ありがとう、は基本的に相手を幸せにする言葉だ。
ごめんね、は基本的に相手も自分も、ネガティブな気持ちになる。
ありがとう、と微笑んで、ごめんね。と頭を下げるのは大切なことだ。
お題「部屋の片隅で」
耳に時計を当てて、音を聞いていた。
ちっ ちっ ちっ
背中が壁に守られている安心感に、身を委ねる。
ちっ ちっ ちっ
目を閉じて、明日の足音を聞いていた。
ちっ ちっ ちっ
体内の時計も、段々音がしてきた気がした。私が、死に向かう音。
私が、終わっていく音。
とっ とっ とっ
明日は足並みが揃ったらいいな。
お題『逆さま』
本を逆さまから読んだら、面白いこと、あるかしら。
人が生き返るかな?元に戻るかな?若返ったりするかな?
瓶を逆さまにしたら出てくるのはなんだろう。
水かな?花かな?部品かな?なにかもっと怖いものかしら。
逆さまにしたら見える世界があるかもしれないね!
お題『眠れないほど』
布団に身体をうずめながら、本を読んでいた。もそもそ。と、若干、虫のような動きで。
そろそろ眠らなくちゃ明日に響く。明日、眠くなる。でも、もうひと段落先が気になって、次の文章を読んでしまう。かれこれ30分はこれをしている。
我ながら欲深いなと思うのだが、本を読む贅沢というのは止められない。文字を追う目の動きが楽しい。ページをめくる音の気持ちよさ。空想する世界の心地よさよ。
このまま夢の世界に旅立てたら、きっと、しあわせだ。
瞼が落ちてくる。夢の世界へ、漕ぎ出す音がする。
おやすみなさい。
お題『夢と現実』
目を閉じていた。誰かが喋る声が耳に届く。木が風に撫でられる音がする。それから、私の前髪を撫でて、去っていった。
太陽が程よくあたたかくて、気持ちが良い。私をそっとしておいてくれるこの空間は、とても居心地が良い。
だんだん、心臓の拍動が落ち着いてくる。意識が、ぼんやり。音は聞こえているのに、だんだん自分の感覚が遮断されていく。
私が、私じゃなくなる。溶けていく。意識は空気と一体になって、朧気になる。どこか心地よかった。
どこか、ここではない別の世界へいく。
私のような、私ではないような、あの世界へ。