遂にこの日が、来てしまったようだ。
起きてしまったことは、仕方がない。
私が、すべき事をするまで。
覗いていた水鏡から、そっと手を離す。
「お前達は被害状況を把握し、隔離空間へ民達を至急誘導せよと関係各所へ伝達。私は、封印が解かれたあの場所へすぐ参る。あとは予定の手筈通りに行うように、後は頼んだぞ」
「畏まりました」
そう告げると、侍る家臣達は一斉に動き出す。
辺りをぐるりと見回して、見慣れた景色の最期の見納めをする。
「最期の仕事に相応しいな。さて、参るか」
自然に笑みが、溢れていた。
私が私であること、そんな生き方が出来たことを誇りに想う。
かの場所へと急ぎ向かう為、転移を踏んだ。
『手を取り合って』
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色々、思い浮かびつつ、どうしてもファンタジーを書きたかった!(笑)
きっと主人公は、どこかの女神様辺りに、ご褒美として奇跡的に助かったと願いは込めてあります。
こんな私でも、ここに存在しても良いですか?
そっと背中を撫でられて、私はここにいても良いと認められたような気がする。
私以外の人達は、私が持っていないモノを、たくさん持っているはず。
自己を認めることが難しい私にとって、注目を集める環境は苦痛であり、「こんな私で、ごめんなさい」と笑顔の仮面を貼り付けたまま、心の中で謝り続けるだろう。
これが私……本当に面倒くさいイキモノで嫌になる。
『優越感、劣等感』
あなたが微笑むと、私も同じ様に微笑む。
もっとその笑顔を見続けたい、そして守っていきたい。
あなたが悲しいと泣くと、私も悲しくなる。
これからは、あなたの悲しみを私が消し去りましょう。
あなたは、何も心配要りません。
私がこれからもずっと、あなたを守り、慈しみ、健やかに過ごせるようにしましょう。
この安全で、強固な空間がある限り。
ガッツン、ガッツン、ガッツン_____今日も激しい攻防戦が、繰り広がっている。
「あー!積み木で床は叩かないでー!」
そう叫びながら、猛ダッシュで息子を抱き上げると、積み木は私の腕に振り下ろされた。
今日も今日とて、平和で何より。
『これまでずっと、これからもずっと』
静かな部屋には、ノートにシャープペンを走らせる音が響く。
そっと、課題の残りのページをペラペラと捲る。
「はぁ……、先は長いなぁ……」
ぐいっと大きく両腕を上に伸ばし、椅子に仰け反った。
凝り固まった体が、少しは解れるのを感じる。
「音楽でも流そうかな?」
手に取ったペットボトルの蓋を外しながら、集中力の切れた頭をどうしようかと考えようとしていた時だった。
教科書の隣に大人しくしていたはずのスマホが、ブブッと小刻みに揺れた。
「誰だろう?」
手に取ったスマホの画面には、LINEが届いた通知が表示されている。特に誰からと表示はされていない、でも私にとっては見慣れた光景。
それは、他人に誰とLINEをしているか詮索されたくない。この主張を思春期の親から、勝ち取った証でもあった。
画面が変わり、通知が来た相手のLINEが表示される。
『ただいま。ねぇ、いまなにしているの?はやくキミに会いたいよ』
私は思わず叫びそうになる声を抑えるため、必死に口許を片手で覆う。
興奮しすぎて顔が熱くなっていくのが、自分でもわかった。
「明日、会えるからね!私、頑張るよ!待っていてね!」
私は思わず拳まで握りしめて、高らかに宣言する。
明日、ライブで会える推しのために、私は再び課題へ向かった。
『一件のLINE』
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補足説明として、アーティスト、俳優等の公式LINEはこういう罪作りなLINEも来るようです。公式LINEのメッセージで、Twitterのトレンド入りした人もいましたね(笑)
……10、……9、……8、……7……
心の中で、カウントダウンする。
きっと全てが変われる……いや、変わっているはず。
……6、……5、……4、……
もうすぐだ、ここから抜け出す為に。
もし、変わっていなかったから……あぁ、どうしよう……
……3、……2、……
この為に、今まで頑張ってきたのだから、信じよう。
……1、……
怖い、でも進まなければ、きっと何も変わらない。
恐る恐る瞳をそっと開く、眩い光の渦に目が眩む。
真っ白に視界は覆われて、何も見えない。
「さぁ、アナタがお望みの自由ですよ」
私の耳元で、そっと囁く声が聴こえた……
『目が覚めると』
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課題提出〆切ギリギリで、必死な学生状態が連日続いてます(笑)
今日は10分しかなくて(笑)
ちょっと闇に片足突っ込みそうな気分を打開したかった、という心境の反映です。
本当はホラーぽいのかイヤミスとか書いてみたかったなぁ…ゴリゴリファンタジーとか。
連日、ぶっつけ本番です(笑)
溶けそうな暑さでメンタルも粉砕しそうですね…皆様、熱中症には、お気を付けて下さいませ。