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10/10/2025, 6:57:12 AM

#秋恋


私は当時、陸上に夢中だった。
性別の差なんて考えていなかった。
とにかく、誰かに勝つことがとても嬉しくて。
記録もどんどん伸びていくし、練習も苦じゃなかった。

しかし、時を重ねていくにつれ、記録が伸びなくなっていった。

女の子が誰しも通る道。

“大人”になった証拠。

好敵手の彼にも、どんどん差を詰められていく。
私は不安と焦りでいっぱいになった。

体も重いし、足が思うようについてきてくれない。

私は彼のことが好きだった。
でも同時に、羨ましさもあった。

私も、男に生まれていたらよかったのに。
彼と、対等に、実力を正面からぶつけられたのに。

そんな思いが頭の中をぐるぐると回る。

……でも、そもそもなんで私は陸上をやっているんだ?
大会に出たいわけでもない。一位になりたいわけでもない。どうして私は、そんなに陸上にこだわるんだ?

ふとそう思った。
今までのことが、すべて崩れ落ちた音がした。

──私は、その場から逃げた。
私の初恋は、赤黄に染まった木の葉とともに散っていった。




秋恋

・秋という季節に始まる恋、または秋に抱く恋の感情。
・秋の情景や雰囲気と結びついた恋。
・秋の切なさやセンチメンタリズムを伴う恋。

9/25/2025, 4:14:35 AM

#時計の針が重なって


君と過ごす時間は
人生の中でほんの少しの時間だけど
君と過ごした時間はきっと無駄じゃない
すべてのことは覚えていないけれど
君の存在はこれからも私の支えになるだろう

6/20/2025, 1:18:59 AM

#雨の香り、涙の跡


本当に つらいときは
涙も 出なくなる

学校に行かなくなって、1年程経ったある日
朝、おきて 階段をおりているとき
ふと、思った。

──なんで生きてるんだろう

自分でも、驚いた。
こんなこと、今までなかった。
かなしいとか、つらいとか、なんとも思わず、ふと頭に浮かんだ言葉。
これは、やばいと思った。

電気をつけなくても、明るいリビング
見なくてもわかる 今日は晴天の日
晴れの日は キライだった
今の自分とは比べ物にならないくらい 輝いているから
やさしいから あたたかいから

せめて、今だけは……雨で私を誤魔化して
私を、暗くて狭い檻から出して
つらいはずなのに、かなしいはずなのに泣けない私を

6/16/2025, 11:51:28 PM

#記憶の地図


はっきり覚えていなくても
断片として 確かに残っている。
私の、宝箱のなかに。

6/16/2025, 4:11:07 AM

#マグカップ


早朝、たき火であったまりながら
マグカップを片手に、朝日を拝む
木々に囲まれ、鳥たちの囀りを聴きながら珈琲を啜る
このとき以上に、安らかで、静かで、癒されるときはあるだろうか

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