「青く深く」
青は、美しい。
いつだって私を惹きつけるものは、青い色をしている。
夏の青空
朝方は薄い水色が、空一面に広がっているが
日が昇るにつれて、水色から青色へと変わり
暑さが増す毎に、その青は更に深くなっていく。
空を見上げる地上では、刺すような日差しや
コンクリートに蓄積され、跳ね返る熱が地獄のようであるが、頭上に広がる美しい青はなんと爽やかなことか。
太陽からの熱が増すごとに、美しく深くなる青は
生命を奪う、悪魔のようで、こちらを招く天使のよう。
もうひとつ、惹かれる青がある。
海の青
海はどこまでも広く、青く、そして美しい。
空の色を映しているのだから、青い空に惹かれるのと
同時に、海にも惹かれるのは当たり前かもしれない。
空の色を写す海は、太陽からの陽射しという装飾によってさらに美しく映る。
陽射しが並に反射し、キラキラと輝く光景は
どんなに大きく、希少なジュエリーであっても
引き出せない輝きである。
そんな海も、やはり美しいだけではない。
遠くから見ても青く美しい海は、
近くで見ても青く美しい。
そして、海は空と同じぐらい、深いのだ。
海の底は、闇が待っているが、
道中は深い美しい青である。
深い青に飲まれてしまうと、たちまち私たちは為す術なく飲み込まれてしまい、青と同化してしまう。
美しいものは、青く深い。
そして生に近く、天国に近い存在なのかもしれない。
「水たまりに映る空」
昼寝から目覚めると、窓の外から光が差し込んでいた。
眠りに落ちる前には、雨音が子守唄となって、微睡みの世界へ導いていたというのに。
季節は梅雨で、ここ暫くは雨続きだった。
久々に日光を浴びたくて、雨上がりの外へでる。
ほのかに香る、雨の匂いは、アスファルトが濡れた匂い、なのだろうか。
ジトりと湿気が身体にまとわりつくが、その反面、
空にはキラキラと太陽が爽やかに輝いている。
道には、そんな太陽の光を反射した鏡のような
水たまりが、さらに世界を明るくするように存在している。
普段はデコボコした、不便に感じる道だが。
雨上がりにはこうして、世界を照らす照明になるのだ。
導かれるように、覗いてみる。
少し歪み、薄らとした色味の自分が映し出されている。
晴れ空の青さまでは、映し出せてはいないが
太陽の煌めきは、その場に落とし込んだように、映し出されていた。
もうすぐ、梅雨も終わるのだろうか、とぼんやり思う。
「雨上がり」
窓を閉めていても、聞こえていた雨音が聞こえない。
そういえば、薄暗かった室内も、明るくなっている。
窓から空を見ると、灰色の空から光が差し込んでいる。
青空、までは行かないが、薄い灰色の空模様へ変わってきている。
雨がなくともそのままの、湿っぽい空気とは裏腹に
雲から零れる日差しはキラキラと爽やかさを感じる。
さきほどまで、雨の受け皿だった水溜まりも太陽を反射していて、空と同じくらいに眩しく感じる。
雨上がりには2種類ある。
どんよりとした空や空気で、雨の再来を予感させるような雨上がりと、今回のような、光が差し込み、青空を感じさせる雨上がり。
どちらにも、違ったよさってものがあることを私は知っている。