『どうすればいの?』
何が正解なのか。
自分は正しいのか。
分からない。
誰に聞いても、何度納得しても、
すぐにまた、答えの出ない問が私を埋め尽くす。
あぁ。もう面倒だ。
早く楽になりたい。肩の力を抜きたい。
お腹と心臓の境目の当たりが気持ちが悪い。
もう嫌だ。
どうせなら、ここで全部終わりにしてしまおうか。
だって他に何が出来る?
『宝物』
私の部屋には小さな箱がある。
この間、ピアノの発表会の時に保育園の先生がくれた。
箱の中には焼き菓子が入っていて、全部美味しかった。
その箱はちょうど宝箱のような形をしていて可愛かったから、
捨てずに残しておいた。
弟が誕生日にくれたシール、お気に入りのキーホルダー、
おばあちゃんが買ってくれた髪ゴム、部活の先輩がくれたヘアピン。
あと、手乗りサイズのクマも入れた。
私のお気に入りのものでいっぱいになった『宝箱』。
本で読むような金銀財宝が入っている訳では無いけれど、
私にはどれも、輝いて見えた。
『子猫』
真っ黒の子猫。
夜の空に溶けていってしまいそうな黒。
誰にも見られずひっそりと、夜の向こうを見つめている。
『柔らかい雨』
傘を無くして、雨の中を歩いていた私に、
君は黙って傘を傾け、私が濡れないようにしてくれた。
傘の柄を持つ、君の手を見つめた。
『一筋の光』
外から攻撃される前に、まず自分で自分の中を攻撃する。そうしておくと、外から攻撃された時、攻撃する対象が少ないから、感じることは最小限になる。いいことも、悪いことも。
でも、悪いことから逃げられるなら、私はいいことからも逃げる。
そうしていつの日か、何も感じなくなった。
でもきっと、『何も無い』状態は存在しなくて、私の中にはまだ、小さな期待が、か細い光が、深く根を張っている。
誰にも気づかれないように。息を潜めて。
誰かが気づくことを、ひたすらに待っている。