題あたたかいね
題 未来への鍵
鍵がここにあるんだ。
未来の扉を開けるドア。
でもね、過去へ行けるドアもある。
私はずっと迷ってる。
なぜなら、今元彼にやり直そうって言われてるけど、友人として付き合ってた人に告白されたから。
私まだ心に過去の思い出があって。
もうダメになってしまった関係だけど、ずっとずっと暖かい思い出が心の奥に灯っていて。
その過去を完全に手放せない。
だけど、お互い忙しくて結局離れてしまった私たちがまたやり直せるのか疑問。
嫌いになって別れたわけじゃないけど。
友人の彼は友人だけど、ちょっといいなって思ってて、でも恋とまではいかない気がしてる。
それでもこの先の未来、もしかして一緒にいたら少しずつでも恋に変わって行けるかもなぁと感じさせてくれるような彼なんだ。
だから、私の手の中には今過去への扉を開けるべきか、未来への扉を開けるべきか迷っている。
どちらが私にとっての幸せなのか分からない。
分からないけど、少し思うの。
強い強い、この人じゃなきゃだめ、この人がいいって言えないのならそれは選んでないんじゃないかって。
どちらにしようは、どちらも本当の意味で愛ではなくて、そんな状態で付き合ってもうまくいかないんじゃないかって。
そう思うから…。私は手の中の未来への鍵も過去への鍵も心にもう一度しまうの。
断って離れていってもいい。
私の中で本当にこの人じゃなきゃって思ったら、その時は私から告白するから…。
それまでは、鍵達には、もうすこしだけ心の中で眠っていてもらおう。
題 星のかけら
題 Ring Ring……
題 追い風
助けて
ねぇ、助けてよ。
絶望的。
赤点ばっかり。
こんなんじゃどこの高校も入れないって先生に言われた。
でもそんなことある?
みんなどこかの学校には行けるでしょ?
私が絶望的に物覚えが悪くても、きっとどこかの学校が入れてくれるでしょ?
なんで高校って義務教育じゃないんだろう。
大学まで私は義務教育がよかったな。
そうしたら、こんなに悩まなかったのに。
絶望じゃなかったのに。
出願はこれからだけど、、、私に行ける高校、あるのかな。
一人公園のブランコに乗っている。
誰も来ない冬の公園、考え事をするのには丁度いいんだ。
1人でゆらゆらしてると、そこへ同じ中学の男子が通りかかった。
「受験期にそんなことしてると風邪ひくよ」
男子が私に声をかける。
「いーの、ほっといて、私の学力じゃどこにも入れないって先生に言われたの」
「どこにも?ほんとに?」
びっくりした顔で男子が寄ってくる。
「先生ハッパかけただけじゃない?頑張ればちゃんとどこかには入れるよ」
「そーなのかなぁ。私、成績悪いけど、入れてもらえるとこあると思う?」
「思う、これからだって勉強すれば、絶対入れると思う。動画とかでも勉強の仕方とかあるし、見てみたらどうかな?」
男子が意外にも真面目に答えてくれて、私はブランコを漕ぐ足を止める。
「そうなの?勉強に興味わかないし、覚えられないし、もうダメだと思っててさ」
「諦めたら、ダメになっちゃうよ、でもさ、諦めなければ可能性はゼロじゃないよ。ゼロじゃないってことは。どんどん合格率も上がっていくってことだよ」
そう言いながら。男子は寒そうに手を合わせた。
「ごめん、寒いよね。でも、そう言われると、何か希望が湧いてきた!ねぇ、連絡先教えてくれない?分からないところ聞きたい」
「いいけど・・・ 」
そう言うと男子は携帯を取り出して、私たちは連絡先を交換した。
「よし、まずは勉強方法の動画を調べてみるよ!」
私は男子に笑いかける。
男子は微かに笑みを浮かべて頷いた。
「そうだね、僕も受験だからあまりメールとか出来ないとは思うけど」
「あ、大丈夫。本当に分からない所だけ聞くから」
私がそう言うと男子は再び頷く。
「分かった、頑張ってね」
「そっちもね」
私も男子に労いの言葉を返す。
なんだろう。さっきまで絶望だったのに、気持ちがびっくりするくらい晴れやかだ。
それは、男子の存在が、言葉が希望になってくれたのかもしれない。
私はやる気に満ちながら家で勉強しようと燃えていた。