題 追い風
助けて
ねぇ、助けてよ。
絶望的。
赤点ばっかり。
こんなんじゃどこの高校も入れないって先生に言われた。
でもそんなことある?
みんなどこかの学校には行けるでしょ?
私が絶望的に物覚えが悪くても、きっとどこかの学校が入れてくれるでしょ?
なんで高校って義務教育じゃないんだろう。
大学まで私は義務教育がよかったな。
そうしたら、こんなに悩まなかったのに。
絶望じゃなかったのに。
出願はこれからだけど、、、私に行ける高校、あるのかな。
一人公園のブランコに乗っている。
誰も来ない冬の公園、考え事をするのには丁度いいんだ。
1人でゆらゆらしてると、そこへ同じ中学の男子が通りかかった。
「受験期にそんなことしてると風邪ひくよ」
男子が私に声をかける。
「いーの、ほっといて、私の学力じゃどこにも入れないって先生に言われたの」
「どこにも?ほんとに?」
びっくりした顔で男子が寄ってくる。
「先生ハッパかけただけじゃない?頑張ればちゃんとどこかには入れるよ」
「そーなのかなぁ。私、成績悪いけど、入れてもらえるとこあると思う?」
「思う、これからだって勉強すれば、絶対入れると思う。動画とかでも勉強の仕方とかあるし、見てみたらどうかな?」
男子が意外にも真面目に答えてくれて、私はブランコを漕ぐ足を止める。
「そうなの?勉強に興味わかないし、覚えられないし、もうダメだと思っててさ」
「諦めたら、ダメになっちゃうよ、でもさ、諦めなければ可能性はゼロじゃないよ。ゼロじゃないってことは。どんどん合格率も上がっていくってことだよ」
そう言いながら。男子は寒そうに手を合わせた。
「ごめん、寒いよね。でも、そう言われると、何か希望が湧いてきた!ねぇ、連絡先教えてくれない?分からないところ聞きたい」
「いいけど・・・ 」
そう言うと男子は携帯を取り出して、私たちは連絡先を交換した。
「よし、まずは勉強方法の動画を調べてみるよ!」
私は男子に笑いかける。
男子は微かに笑みを浮かべて頷いた。
「そうだね、僕も受験だからあまりメールとか出来ないとは思うけど」
「あ、大丈夫。本当に分からない所だけ聞くから」
私がそう言うと男子は再び頷く。
「分かった、頑張ってね」
「そっちもね」
私も男子に労いの言葉を返す。
なんだろう。さっきまで絶望だったのに、気持ちがびっくりするくらい晴れやかだ。
それは、男子の存在が、言葉が希望になってくれたのかもしれない。
私はやる気に満ちながら家で勉強しようと燃えていた。
1/7/2025, 10:05:04 AM