ミントチョコ

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10/28/2024, 10:46:53 AM

題 暗がりの中で

暗がり・・・・

「ギャアアアアア!!!」

私は突然の停電に悲鳴をあげた。
て、停電、停電・・・・。

どうしよう・・・・。

夜、8時、父親も母親もまだ家に帰宅してない。
部屋を移動しようとすると、下に置いてあったテニスラケットにつまずいてそのままダンッと転ぶ。

いたぁ・・・。

私は半泣きでぶつけたおでこをさする。

まだ暗いままで、全然辺りが確認できない。

とにかくドアまで行かなきゃ・・・。

私はそろそろとドアまで行くと、廊下へ出た。

うっ、暗いよ〜。

あまりの暗さに終わりがないような飲み込まれるような闇に感じる。

行くのやだな・・・。
若干の暗所恐怖症がある私はそんな想いに囚われる。

なんて言っててもしょうがない。

私は、こわごわ真っ暗な廊下を進んで、階段をこわごわ降りた。

慌てると踏み外しそうでそろそろ出来うる限りゆっくり、恐怖心と戦いながら降りた。

一階に降りて、ブレーカーを上げるために浴室の脱衣場を目指す。

しかし暗いなぁ。
台所からピチャ、ピチャって、水の跳ねる音がして、しかも、時計のカチカチの音も聞こえて来て、私の恐怖心を増長させる。

やっと脱衣場にたどり着いた時は、実際よりももっともっと時間が経過した気がした。

無事ブレーカーを上げると、一斉に電気が点灯する。

はぁぁぁぁ。
よかったぁぁぁぁ。

私は心から安堵のため息をついた。

明るいってこんなに幸せで安心することなんだな。

今までの暗さ一杯の中にいた時の恐怖心が払拭されて、気持ちも明るくなる。

降りてきた時とは心が別人のように足取りも軽く、私は2階の自室に戻っていったのだった。

10/27/2024, 10:49:42 AM

題 紅茶の香り

フンフン〜♪

私は鼻歌を歌いながら食器棚を開けた。
今日は久しぶりのお仕事お休みの日。

せっかくだから、とっときの日に買っておいた紅茶のティーバッグでお茶にしようと思ったんだ。

朝ご飯はもう済ませて、10時。
優雅なティータイム。

昨日御用達のお菓子屋さんで、しっかりとクッキーセットは購入済。

お気に入りの貝のオーロラ色のお皿に色とりどりのクッキーをのせる。
いちごの形のいちごクッキー、チョコとバニラのボックスクッキー、それから、くるくる巻かれたロールクッキー。

どれも美味しそう。
見てるだけでテンションがルンルンと上がってくる。

食器棚から取り出したのはティー専門店で買った紅茶。
マロングラッセ風味の紅茶、シュトーレン風味の紅茶、そしてミントチョコ風味の紅茶。

変わり種が好きな私はついつい手を伸ばしてかごに入れてしまっていた。

どれを飲もうかな・・・

しばらく逡巡した結果、マロングラッセの紅茶にすることに。

今丁度秋だし、季節柄もこれかな、と思ったから。

紅茶のカップにティーバッグをいれると、テーブルに置いて、横にお湯を補充してあったポットを持ち上げる。

コポコポコポ・・・

癒しの音と共に紅茶の色が淡い茶色に色づいていく。
そして、柔らかくて、甘いマロンの匂い。

「良い匂い〜!」

思わず声に出てしまう。

私はポットを置くと、ソファに座って、しばらく紅茶が出来るのを待つ。

外は青空。まだ冷たすぎない風がカーテンを揺らして入ってくる。

癒しだ。癒ししか感じない空間。

紅茶ができると、ティーバッグを取って、一口口に含む。

淡いマロンの香りが鼻を抜けて、紅茶の深い味が私にほぅっとため息をつかせた。

とてもステキなティータイムに心は始終ウキウキ。

仕事休みにこんな風に自分を楽しませられるなんてなんて幸せなんだろうと思う。

次はどのクッキーから食べようかな。

私は幸せな選択をしながらそんな思いを抱いていた。

10/26/2024, 12:58:06 PM

題 愛言葉

こんなこと言えない
付き合ってるけど好きとか愛してるとか

いいたいけど、照れくさい
でもさ

あなたは惜しみなくくれるよね?

それこそ浴びるほどに

私が窒息してしまうほどに・・・。

「好きだよ」

「うん、分かってる」

私がそういうと、悲しそうな顔をするあなた。

「楓は?俺のこと好き?」

「うん、まぁね〜」

「まあねって何?」

「えーだって照れくさいもん」

私がデートしている時、いつもそんな会話になってしまう。
言えればいいのに、この溢れてる気持ちを。

でも、いざ言おうと思うと胸のあたりでつっかえて言葉がでてこないんだ。

「楓、俺は楓のこと愛してるからな」

「うん・・・」

私も言いたいのに言葉を飲み込んでしまう。

あなたはちょっと切なそうな顔をして私の頭を優しく撫でるんだ。

いつもいつももらってばかりだから、嬉しい言葉を返したいのに。

私の素直じゃない所が抵抗してしまう。

私とあなたの性格が入れ替わったらいいのに。
そしたら私はあなたにたくさんの愛を囁いて打ち明けて、そして、喜ばせられるのに。

でも、あなたはそうしたら私に返してくれないのかな?
好きって言っても、まあねって返すのかな?

私みたいに不器用になって何も言ってくれなくなるのかな?

私が何度も何度も何度も好きって言っても・・・。

それでも言葉を返してくれないの?

横を歩くあなたを見る。
優しい顔をしてる。

いくら返さなくてあなたは笑顔でいてくれるんだね。

私は衝動的にあなたの腕に抱きつく。

「えっ?どうしたの?」

あなたは優しく笑顔で、私を、見る。
とても嬉しそうな顔してる。

私の胸はいっぱいになって・・・。

「スキ・・・」

言葉が零れ落ちてきた。
無意識に出てた。

だって、私だったらたまらない。
何度も何度も何度も言ってくれる愛の言葉を返してくれないなんて。

だから、気持ちを伝えたくてたまらなくなったんだ。

あなたは一瞬止まってから・・・私を強く抱きしめた。

「はっ?!えっ・・・」

私が固まってると、あなたの声が耳元で響く。

「すごく・・・嬉しい、俺も好き」

「うん・・・」

その幸せそうな顔に、私はあなたの背中に手を回して微笑む。

これからは愛の言葉を伝えていこうと思いながら、
いつかはあなたの言葉よりも沢山伝えられればいいなと思ったけど。

・・・それは無理か。あなたの愛の言葉は降り注ぐように私に既に沢山届いているんだから。

10/25/2024, 1:04:49 PM

題 友達

友達ってなんていいものなんだと思ってた。
でもさ、面倒なんだよね。

私は3人グループの他の二人を見てため息をつく。

「だから、今日はカラオケ行こうってば」

「えー、今日はプリクラ撮ってそのまま新しく出来たカフェ行きたい」

「カフェなんて別にやることないじゃん、時間潰せないし」

「カラオケつまんない、あんたの歌声永遠聞かされるだけじゃん」

私はまたか、という目で机に座って二人を冷静に眺めている・・・といつものごとくな流れがやってくる。

「ねえ、どっちがいい?プリクラ撮ってカフェだよね?」

「は?抜け駆けしないで、カラオケだよね〜!!」

「・・・ホントどっちでもいいから言い争わないでほしいんだけど」

私がそう言うと、二人は視線を合わせて睨み合う。

「・・・あのさ、それ、カフェ行ってプリクラ撮ってからカラオケじゃだめなの?」

私がそんな二人に打開策を提案する。

「えー。カラオケって気分じゃないんだよね、喉ガラガラになるし」

「私は逆に、カフェって気分じゃない。新作覚えたし歌いたいし」

はぁ〜〜

私は深いため息をつく。どうしろと?
私はどっちでもいいんだけどね。

「じゃあじゃんけんで決めたら?」

「じゃんけん?小学生じゃないんだから、アユミが決めてくれればそっちに従うからさ、決めてよ」

サキがやっぱり矛先をこっちに向けてくる。

やめてよ。いつもそう言うけど、決めたら選ばれなかった方にネチネチ嫌味言われるんだから。

「そーそー、アユミが決めてよ。3人だし、どっちかが2票入ったら勝ちでしょ」

ユカがそう賛同する。

「勝ちって・・・」

そういうことなのかな、と考えながら私は2人の顔に視線を行き来させる。

私を選びなさい感が、圧力の視線を凄く感じる〜。

私は心の中で思った。

確かに友達っていろいろ話せていいよ。
でも、時に非常にめんどくさく負担がかかる。
しかもいつも私が選択係になってしまう。

調整係も楽じゃないよ〜。

私はそう思いながらどちらを選んでも同じように嫌味を言われる未来を進むしかなかった。


10/24/2024, 1:20:00 PM

題 行かないで

「行かないで」

そう言いたかった。私を見捨てないで。
ずっとそばにいて、そう言いたかった。

でもあなたにはやることがあって。
目標があって。

だからここに留まることは出来なかったんだよね。
あなたは私に向かって優しい瞳で言った。

「私、やりたいことがあるから、違う大学にいくけど、ずっと親友だよ」

ずっとずっと隣りにいたのに。
小さい頃からあなたは私の幼なじみで、支えで、元気の源で、一緒にいたら強くなれたのに。

「うん」

私は涙を溜めた目で頷くことしか出来なかった。

だって、どれだけ夢に向かって頑張ってるか一番知ってたから。
一番近くで見ていたから。

だから止めることなんて出来るわけもなかった。

それでも思ってしまう。
あなたが私とこれまで通り一緒にいてくれたら。
笑ってくれたら。
悩みを相談しあえたら。

いつでも会いたい時に会えたら。

一番大事な親友だから。

だからこそ、一番幸せで居てほしいのに、一番近くにいてほしくて。

そんな揺れる気持ちに私はどうしていいか分からなくなる。

そんな私の気持ちを知ってか知らずか。
親友は私の頭に軽く手を乗せた。

「何かあったらいつでも何でも話してね」

「うん・・・」

その言葉に涙腺が崩壊してしまう。

行かないでほしい。
行かないで。

あなたは私の希望なんだ。
ずっと横にいてほしい唯一の親友なんだ。

だから、私と一緒にこれからも同じ景色を見ていてほしい・・・。

ひとしきり泣いている私をただ、黙って頭を撫で続けるあなた。

私は落ち着いて深呼吸すると、親友の顔をみて泣き笑いする。

「ごめんね泣いちゃって」

一緒にいたい、いたいけど・・・、やっぱり、親友には自分のやりたいことを追い続けてほしい。
そして私も、親友に誇れるくらい、自分のやりたいことを見つけたい。

今は何もない私だけど、あなたが自分のやりたいことを追っていくなら、わたしもあなたを追いかけるよ。

やりたいことを見つけて、自分を磨くよ。

だって、あなたにがっかりされたくないから。
がっかりしない人って分かってる。それでも・・・。
あなたが誇ってくれる人に、自分が誇れる人になりたいから。

もう少し、強くなりたい・・・。
私から思わずこぼれた言葉に、あなたは微笑む。

「うん、唯ならなれるよ、私の自慢の親友だもん」

その言葉に、また涙腺が緩んだけど、私は強い決意をもって、これからの道を進もうと同時に思ったんだ。

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