ミントチョコ

Open App
5/15/2024, 11:28:41 AM

題 後悔

「あの時告白しとけば良かった・・・」

私は、前の席で仲良くご飯を食べている島原くんと関谷さんをみて呟いた・・・。

付き合いだしてから、教室で毎日一緒にお昼を食べている2人。
見ている私は辛くて仕方ない。

だけど、昼ご飯は教室で食べないといけないから仕方ないよね。

ずっと島原くんが好きだった。
そこそこ話してたし、隣の席になって勉強教えていたから仲良くなった気でいた。

・・・でもね、わかってたんだ。
島原くん、たまにチラッと私と話している時に視線そらしてるの。

その先にあるのが関谷さんだってこと、私、気づいてた。

だからこそ、ムキになって、話しかけて、出来るだけ仲良くなろうと話題の共通点探して、いろいろしたけど・・・。

そうだよね、ここで頑張っても、私は成功しなかった。
ここから逆転なんて無理な話だったんだ。

それでも・・・。
それでも、告白しておけば、と思わずにいられない。

たとえ振られたとしても、この気持ちを、溢れる気持ちを伝えたかった。
知ってほしかった。

結局、島原くんから関谷さんに告白したんだ。
私がどうしようか迷っている間に。

毎日後悔の日々だ。
でも、まさか付き合ってる人がいる人に好きでしたなんて言えるわけない。

だから・・・。
私は机に伏せった。
だから、私はこの気持ちを胸に秘めているしかない。
苦しいくらいに突き上げている悲しみと切なさが混ざった気持ちを・・・。

この胸の中に閉じ込めておこう。

5/14/2024, 2:15:59 PM

題 風に身を任せ

風に身を任せたらどこに行くんだろう。
私はふと下校中に、鳥の群れを見つけて思った。

鳥は風に逆らって飛んでいるんだろうか。
身を任せたらどこに行くんだろう。
好奇心でそんなことする鳥がいたりして・・・いないか。
鳥にとっては、どこに行き着くかは死活問題だもんね。

私は、風に吹かれてどこまでも飛んでいきたい。

どこかへ行くというより、ただ、漂っていたい。
風に吹かれて浮遊感を感じていたい。

海やプールで力を抜いて浮遊するのが大好きなんだ。
たまらなく心地良い。

だから、風に身を任せてそのふわふわした浮遊感を存分に感じたい。

ふと上を見上げて考え出した思考は思ったよりも長くなってしまった。
今気づくと地面に土を感じる。
私はしっかりと足を踏みしめていた。

ふわふわする浮遊感に憧れるなぁ〜。
軽やかに飛んでいく鳥たちを見上げ、私は再び羨望の眼差しで見つめた。

5/13/2024, 1:39:29 AM

題 子供のままで

「あ、風船だぁ」

私は空を飛ぶ風船を見て歓声をあげる。
隣で彼氏が同じように顔を上げた。

「珍しいな、最近ヘリウムガス足りなくて風船の価格もあがってるはずなのにな」

「ちょっと!何でそんないつも現実的なの?!」

私は彼氏の言葉に憤慨して言う。

「いや、ひなたが子供っぽすぎるんだって」

「ひど、彼女に向かって」

私が言い返すと、彼氏は冷静な目で私を一瞥した。

「別に、彼女なことと子供っぽいことは関係ないだろう?」

そう言われて、ムカムカと怒りが込み上げてくる。

「じゃあ!たかとはないの?こう、わぁ、きれい〜すてき〜みたいなのは」

「別に」

即答。
この男〜!!

「ほら、見てよ、これっ、こないだ撮ったの。虹が雲にかかったベストショット!!」

「どれ?ふーん、いいんじゃない」

「反応薄すぎ・・・!」

私の力作の写真を見せてもたかとは顔の表情一つ変えずに感想を話す。
いつもいつも現実的であまり取り乱さないたかと。
頼りにはなるけど、私が子供っぽいってしょっちゅう言われる。

ていうか、私はたかとが落ち着きすぎなだけだと思うんだけどね・・・。

「じゃ、これは?」

私は写真をスライドさせて、その前に撮ったたかとの好きなゲームの新作情報を見せた。
私もたかともそのゲーム大好きで、よくオンライン対戦してるから・・・。

「あ、店頭に情報出てた?知ってたよ」

そっか・・・たかとの方が情報通だったわ・・・。
私はがっかりして携帯の画面を閉じようとして、もう一回スライドさせてしまった。

「え?なにこれ?」

そこで、たかとの声色が変わる。
何かと思って私もたかとと携帯画面を覗き込む。

「ああ、これ?何かね、ひさびさにいとこのお姉ちゃんが来て、服をプレゼントしてくれてメイクしてくれたんだ〜」

私が笑顔で答えるけど、たかとの表情は変わらない。

「そうじゃなくて、この、横でひなたの肩に手を回してる男は?」

険しいたかとの顔に珍しいなと思いながら答える。

「え?幼馴染だけど・・・隣に住んでる。いとこのお姉ちゃんと一緒によく遊んだから来てもらったんだ〜楽しかったよ」

私が笑顔でたかとを見ると、たかとはフイッと横を見た。

「楽しそうだな、本当」

「たかと・・・?」

あれ?こんなたかと初めてかも。あんまり機嫌悪くならないのに・・・。
幼馴染と一緒にいて機嫌悪くなった?まさかたかと・・・。

「ヤキモチ?」

思い当たった言葉が口からこぼれる。
たかとは当惑したような表情で振り返った。

「や、やきもち?俺が?」

「だって、たかと機嫌悪くなったじゃない、幼馴染の話したら。大丈夫〜!幼馴染はずっといとこのお姉ちゃんに片思いしてるんだから」

「別に、気にしてない・・・」

たかとの見たことない表情に、私の顔に思わず笑顔がこぼれる。
私はたかとの腕に飛びついて言った。

「たかとも案外子供っぽいんだね〜!」

私の言葉にかぁぁと赤面するたかと。

「うるさいな」

とそっぽを向く。

うん。
冷静でしっかりしてるたかとも好きだけど・・・。
こんな風に動揺してヤキモチ焼いてるたかとも・・・。

「好きだよ」

私は赤面してそっぽを向いたままの彼氏の耳に囁いた。

5/11/2024, 3:39:27 PM

題 愛を叫ぶ

私は隣の席の高田くんがすき。
すごく好き。

でも、好きだけどその気持ちをつたえられない。
だって恥ずかしいもん。

でも気持ちは溢れて溢れて仕方ない。

だから、どうしていいか分からないでいた時、王様の耳はロバの耳っていう本を読んだの。

王様の耳がロバって知ってしまった男が喋りたい衝動を井戸に叫ぶことで発散したって。

それで私は、帰宅途中に見つけた木にポッカリと空いた穴に向かって口をつけて叫ぶことにしたんだ。

「高田くん〜好き〜!」

何回か叫んだら気持ちが落ち着いたんだ。
それで気が済んで何日か過ごす。

でも、また少しすると好きな気持ちが溢れてくる。
そしたら、そうして木の穴に向かって叫ぶっていうことで気持ちをコントロールしていた。

そんなある日。

私がいつものように、「高田くん〜!好きだよ〜!」
と叫ぶと、コホンって咳払いが聞こえた。

「えっ?!」

私は急いで辺りを見回す。誰もいない・・・。木の反対側に回り込んでみると、そこには高田くんが木の下に座って本を読んでいた。

反対側は完全に死角だった・・・。
逆側から木のところまで来てたから分からなかった・・・。

「た、高田くん?!聞いてた??」

「・・・うん、なんなら、ここ大体来てるから・・・」

なんてこと!
全部高田くんに聞かれてたとは・・・!

「あの・・・忘れてもらうことは・・・」

「忘れられると、思う?」

「あ、ですよね・・・」

2人の間に気まずい沈黙が流れる・・・。
何で家で叫ぶことしなかったんだろうって後悔の気持ちが流れ込んでくる。
よりによって本人にバレちゃうなんて・・・まだ違う人なら口止めも出来るのに・・・。

「僕、何でずっとここに来てたか知ってる?」

「え・・・」

そういえば、何でだろう?私の声が聞こえてたなら気まずいよね、普通・・・。

「君に気づいてほしかったし、君の告白、毎日聞けるから」

そういう彼の顔は赤くなっている。

「はっ、えっ・・・」

私が動揺して言葉にならない言葉を発すると、彼は私をしっかりを見た。

「君のこと、好きなんだ。僕も。付き合ってほしい」

・・・夢見たい。
夢かも、とほっぺをつねると彼に笑われた。

「もちろん、よろしくねっ!」

私は当然そう返事をする。

王様の耳はロバの耳の話は、結局井戸は国中に繋がっていて、みんなに秘密がばれちゃったんだっけ?

私は・・・バレて良かったな。
そうじゃなければこの気持ちをずっと持て余していたと思うから。

私は愛しい彼の顔を見てにっこり笑顔で笑いかけた。
幸せの絶頂だ。結果オーライだよね!

5/10/2024, 12:58:19 PM

題 モンシロチョウ

ヒラヒラ

私は寝転がりながら上を通り過ぎるモンシロチョウを見ていた。

春のある日。
学校の中庭の柔らかい芝生のある小山になっているところに横たわっていた。

側には桜の大きな木。
もう既に葉は散って、葉桜になっている。
5月の夏にはまだ早い、柔らかい日差し。

5月の風が爽やかで気持ちいい・・・。

私は目を静かに閉じた。

「こらっー!何やってるの。サボってたらだめでしょう?!」

そこへ響く怒鳴り声。
私は顔をしかめて片目を開く。

横には腕組みをした委員長が立っていた。
生真面目なんだよね。

三つ編みして、分厚い眼鏡かけて、本当に真面目を絵に描いたような委員長。

「委員長もサボりじゃん」

私が言うと、委員長はムキになったように反論する。

「違います!先生が窓からサボってるあなたを見つけたから、私はあなたを連れ戻すように言われたのよ!」

「あーここから、見えちゃうんだ、失敗失敗」

私がそう言って、教室の窓を見上げると、委員長はさらに声を荒げた。

「ちょっと!何言ってるのよ、一緒に戻るわよ」

「委員長、少しは肩の力抜いたら?そんな真面目に生きてて疲れない?ほら、そこ飛んでるモンシロチョウみたいにさ」

ひらひらとモンシロチョウは、白い羽を動かして、自由に花の間を行き交っている。

「あなたみたいにサボってばかりいたら、ろくでもない人間になるでしょう?!」

委員長は、顔を赤くして抗議している。

「はいはい、うるさいな。分かったよ、戻ればいいんでしょ」

私はうるさく喚く委員長に辟易して、起き上がると、制服についた芝をポンポンとはたいた。

「教室に行けばいいんでしょ」

「もうさぼっちゃだめよ!」

そう強い口調でいう委員長に、私は首をすくめて答えた。

「それは保証出来ないかな。私は自由でいたいから。カゴに入れられたモンシロチョウみたいなのは真っ平ごめんだから」

「あなたって人は・・・!?」

ワナワナと震える委員長の横を通り過ぎて、私は靴箱へと歩き出した。

気づくと道の脇の芝生に咲いた花の所で、何匹かのモンシロチョウが花の蜜を求めて飛んでいるのが目に入る。

「自由っていいよね」

私はその姿を見て、ポツリと言葉をこぼした。

「早く行くわよっ」

後ろから委員長がせっついてくる。

「囚われてるのは窮屈じゃない?」

私が振り返ると、委員長は怪訝な顔をして問い返してくる。

「何言ってるの?」

「・・・ううん、わからないならいいよ」

再び私は前を見ると、ひらひらと舞うモンシロチョウの横を通り過ぎて囚われの教室へと歩き出した。


Next