鏡を見て、思う。
この美しさのまま、生きてゆきたいと。
透明感のある、陶器のような肌。
艶のある、濡羽烏のような髪。
程よいメリハリのある、健康的な身体。
しかし、私は知っている。
年齢、それぞれの美しさがあることを知っている。
だから、私は今の自分の美しさを知っている。
輝夜姫 月を眺めて 求めるは 桜のような 生き方かな
しとしとと 涙を流す 空模様 悲しみ暮れる ひとりのをみな
死にたい、それは、誰しも一度は思うこと。
しかし、余程追い詰められない限り実行しないこと。
あなたにとっての死とは、あなたにとっての不幸とは、
一体どんなことですか?
きっと、それは似通っていながらも皆違うと思う。
死を望むことは、悪では無い。
しかし、望ましくも無い。
私は、死にたくなったら、物語を描く。
その気持ちを思うがままに、物語に込めて描く。
描くという漢字は、間違いではなく、
わたしの思う世界と、わたしの理想と不満と葛藤を全て描き切る。
今回は『書く』より『描く』という表現の方がしっくり来るので使っている。
そうすると、楽になる。
現実から、一時でも目が離せるから。
自分を表現できるもの、全てを使って出し切れば良い。
そうすれば、『人生には有っても良い。』と、
そう思える日まで待つことが出来る。
目が合う。
その人から目が離せない。
「会いたかったわ。」
気が付いたら、互いに走り出して、互いに抱きしめあっていた。
「私も会いたかった。」
もう一度、彼女と目が合う。
涙が溢れて、ピントが合わない。
「もう会えないと思っていた。だから、本当に嬉しい。」
彼女から木綿の手縫いを手渡されて、涙で濡れた顔を拭いた。
「わたしも、あなたに会えて本当に嬉しい。遠路遥々、ありがとう。」
彼女は、泣きながら笑っていた。
「こちらこそ、招待してくれてありがとう。」
私は、精一杯の笑顔でそう言った。