kiliu yoa

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11/25/2023, 10:36:14 AM

紙飛行機を飛ばす。

風に乗り、進む。

しかし、しばらくすると落ちてきた。

ここで諦めず、もう一度、紙飛行機を飛ばす。

たぶん、こういう人は何度も立ち上がる。

何度…転んでも、何度…失敗しても、起き上がる。

生きることを諦めないのだろう。

私の友人のように。

彼らは、決して、最後まで生を…生きることを諦めない。

何が在ろうと、最後まで最善を尽くす。

例えば、紙飛行機をより長い距離飛ばしたいとしよう。

多くの人は、まず紙飛行機の飛ばし方を工夫するだろう。

しかし、それでは何の変化も無かった場合、多くの人は其処で諦める。

しかし、彼らは違った。まずは紙飛行機の設計を見直した。

決して、諦めることが悪いという訳では無い。時に、諦めは必要だ。

ただ、諦める前に最善を尽くすことが大切なのだ。

もしも、あの時…こうしていれば。

もしも、あの時…ああしていれば。と、過去を悔やまぬ為に。

年寄りの説教は、終わりにしよう。

要は、太陽の下で堂々と生きよ。早々に生きることを諦めるな。

胸を張り、しっかり呼吸してみよ。

案外、人生は面白いぞ。









11/24/2023, 1:06:37 PM

編み物は、本当に複雑だ。

私には、気が遠くなる。

でも、あの人の為なら……頑張れる。

やはり、どこか不格好。

お義母さまや義叔母さまのような均等な編み目も、

鮮やかな色彩に繊細な模様も、私には未だ出来ない。

悔しい。あー、もう暖炉で燃やしたい。

でも、それはしない。

何故なら、この不格好な編み物の完成を待ってくれる人が居るから。

これの何が良いのかしら。

私には、分からない。

ふふ、我ながら上出来でしょう。

セーターを優しく、抱きしめる。

来年も、また作ろう。

そしたら、少しずつでも上達するだろう。

来年も、又、あの人の故郷に行こう。

そして、お義母さまや義叔母さまに習おう。

ふふ、本当に楽しみ。

ああ、幸せ。

なんて、幸せなんだろう。

今日も、あの人の帰りが待ち遠しい。







11/23/2023, 11:23:13 AM

息を深く、吸う。

息を吐きながら、中段に刀を構える。

眼の前の相手は、私と互角の強さ…いや、私より強い。

此れは、一騎討ちなのだ。

少しだけ、心と身体をつなぐ糸を切る。

かつての、痛みを感じぬ身体に戻す。

この糸を完全に絶ち切っては、ならない。

絶ち切ってしまうと、そう簡単には…つながらない。

最初は、相手の出方を見る。

相手の攻撃を受け流しながら、相手の隙を伺う。

私の動きは、ゆっくりだ。

徐々に間合いを詰めていく。

その間、私は仕掛けない。

相手の集中が切れた、その時、相手の防御に隙ができる。

相手は、私のゆっくりした動きに慣れている。

そうすると、隙を突く、速い動きには…付いて来れなくなる。

そこを狙うのだ。

速さの濃淡と、でも言うのだろうか。

私の刃は、相手に届いた。

相手の肉を削ぐ、音、香り、感覚が……鮮明に脳裏に焼き付く。

相手の胸から腹にかけて、深く斬った。

相手の表情は、穏やかなものだった。

「安らかに眠れ。」

他に、なんと声を掛ければ……良いのだろう。

私は、首切り処刑人だった。

人を殺すことには、慣れている。

しかし、言葉に表せられぬ、気持ちが湧き出て……止まらない。

思考が停止する。気持ちを切り換えねば……。


嗚呼、そうか、初めて罪のない人を殺したからか。

もしかすると、これが俗に言う、罪悪感なのかもしれない。













11/21/2023, 12:56:08 PM

さぁ?

その主君の言葉に、私は頭を抱える。

いい加減にしろ!

内心、激情に駆られた。そして、声に出ていた。

眼の前に居る男こと、主君はゲラゲラ笑っていた。

あなたの、こういうところが嫌いだ!と内心、悪態をついた。

落ち着け、私。

主君は、原来こういう人間だ。

無茶振りは、今に始まったことでは無い。

この手のものは、ある種の限界突破である。

認めたくないが、この経験のおかげで、

心身ともに成長できるのも、また事実なのだ。

さぁ、頑張るか。

今日も、我が主君のために。






















11/20/2023, 10:35:56 AM

それは、わたしの愛するもの。

それは、わたしの守るもの。

それは、やがて、わたしのもとを旅立つもの。

それは、ほんの僅かしか、その時を必要としないもの。

そのものは、わたしに多くを与えてしもの。

そのものは、わたしの心の温もり。


しろかねも、しろかねも、くがねも、たまも、なにせむに、

まされる宝、子にしかめやも。            
                        山上 憶良


この歌ほど、わたしの宝物を表すものを、わたしは知らない。




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