雪桜(引き継ぎ)

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9/16/2025, 8:32:02 AM

「となりでふわり」


急に昨晩誘ってくれたドライブ

行き先もあまり決めずに出発した

当時聞いてた音楽を鳴らして

市街地を抜けて走っていく

懐かしいね、と言いながらも

いつの間にほとんど聞かずに

くだらないことを話してた

お腹が空いたらその辺で食べて

行き先に迷ったら昔よく行った公園に向かってた

昔話をたくさんしたけど

別れたばかりの彼の話はしてこないのは

きっとどこかで聞いたからだよね

展望台からの景色を一緒に見ながら

向かい風に「ありがとう」と口ずさむ

「なんかいった?」とも聞かずにそばにいてくれる

それだけで気持ちがふわりと軽くなっていた

君がいてくれてよかった

9/14/2025, 4:34:15 PM

「薄明シアター」



帰宅を急ぐ人達で溢れた

夕暮れ間近の地元の道を

彼女の手を引きながら駆けていく

耳を澄ませば

商店街の有線放送と

息を切らした彼女の声が聞こえてくる

柔らかいグミのようなオレンジから

パン工場の煙突の影が伸びてきて

始まりの時間が近いことを教えてくれる

時々振り返って彼女の方を見ると

弾んだ息のまま微笑んで

繋いだ手を握り返してくれた

河川敷の階段を登って降りて

遠くの線路から警笛が聞こえたら

辺りは暗くなって2人の物語が始まる

夜空のスクリーンは手を繋いだまま

まだおぼつかない月の光が

今と未来を優しく包んで照らしていた

9/13/2025, 1:05:08 PM

「空 白」


空白が怖くて
予定を埋めて
他人と会って
仕事を務めて
余裕を失って
思考を止めて
外見を飾って
充実を装って
周りに誇って
自分を作って
時だけ過ぎて
無為が残った


「台風が過ぎて」が時間内に創作出来なかったので台風と同じページに「空白」を掲載させていただきます。大変見づらいですがご参照いただけると幸いですm(_ _)m




「失恋台風」


失恋した
彼から「別れよう」と言われた

彼のことが好きすぎて 
いつも彼と一緒にいたくて
毎朝毎晩連絡して
休みのたびにおでかけして
友達との約束も断って
彼中心の生活をしてた
そんな私のことを
最初は「かわいい」とか
「ずっと一緒だよ」とか言ってくれてたのに
今では「重い」って言われてさよならなんて
変わったのならもっと早くに教えてほしかった

別れるなんて受け入れられないし信じられないし
どうしたらいいかわかんないし寝られないし
泣いてぶつけて暴れて叫んで
なにもする気がおきなくて
自分でもどうしようもない感情を
息を潜めて過ぎ去るのを待つしかなかった

一息ついて辺りを見渡せば
荒んだ気持ちに追い討ちをかけるように
壁は服は荒れて 床は涙で溢れ ベランダのカーテンは揺れていた
これからどうしたらいいか途方くれていたら
空は雲一つなく晴れ晴れしていた






9/12/2025, 11:04:36 AM

「ひとりっ切り」


なんだか1人になりたくて
いろんな関係を切っていった

あとで戻せる保証はなかったけど
今は切ることが優先だった

最近仲良くなったバイト先の後輩や
産んで育ててくれた両親だって切っていった

あと先考えずに
細い関係も太い関係も手当たり次第に

途中「これは切らなくてもいいかな」と
躊躇することがあったけど

判別するのがめんどくさくなって
結局切っていくことにした

機械的に切ろうとしたけど
やっぱり切る瞬間に思い出したりして

散らかった糸を手に取るとじんわり温かく
自分の周りにはこんなに人がいるんだな、と思えたら

切るのを諦めて寝てみることにした
ひとりきりになるのは案外難しいのだ

9/11/2025, 9:08:18 AM

「白」


赤と青を混ぜると紫ができた

青と緑を混ぜると青緑ができた

赤と緑を混ぜると茶色ができた

次から次へと変わってできる新しい色に

目を輝かせながら遊んでいた

「そうだ!」と今度は全部を混ぜてみた

どんな色ができるかわくわくしていると

色は消えて白になってしまった

器をひっくり返したり

何回も混ぜてみたけれど

消えてしまった色は元に戻らなかった

ちょっと寂しい気がしたけど

今度は白と混ぜてることにした

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