「フィルター」
下心とか
打算とか
収入とか
身長とか
容姿とか
フィルターで濾過してみたら
残った愛の重さは何グラムぐらいなんだろう
「なかま」
仲間になりたいなら優しくしよう
命令されたら上下関係になっちゃうから
仲間になりたいなら人の話を聞こう
自分勝手だと愛想つかされちゃうから
仲間になりたいなら陰口はやめよう
言ってしまうと自分も言われちゃうから
仲間になりたいなら違うこともしよう
同じことしてても仲間が増えないから
仲間になりたいなら素直になろう
手を伸ばせば誰かがきっと助けてくれるから
仲間になりたいなら信じてみよう
信じることが仲間になる最初の一歩だから
「あめときみ」
天気予報アプリを開くと教えてくれた
今日の降水確率は60% 急な天気の変化に気をつけましょう
あーあ、今日はあんまり機嫌が良くなさそうだ
言葉選びを慎重にしなくっちゃっな
否定的な言葉を使わずに、話をたくさん聞いてみよう
行きたいね、と話してたカフェもいこう
カフェで並んだりもしたけどイラつかず
メニューを見ながらわくわくを高めていこう
よしよし、ワッフルとクリームソーダを食べながら
アプリからのポップアップを見る
あと15分で雨が降る予報です
えー、ここまでは順調に過ごせているのに?
その瞬間、君との会話をおそろかにしてしまった
しまった!少しずつ雲行きが怪しくなってくる
スマホの通知が気になって…と言い訳した瞬間
時すでに遅し、予報通りの雨が落ちてきた
大粒の雫が店の窓を叩きアスファルトを黒くする
はぁー、ここまで上手くいってたのにな
準備していた折りたたみ傘を開いて店を出る
帰りの車内は雨雲のように重い雰囲気で
雨粒を避けるワイパーの音だけがリズムよく聞こえてた
きみを送り届けると雨は次第に止んでいった
1人になった車内で今日のことを振り返って思う
今度はてるてる坊主を作ってから家をでないとな
走りだす廊下
誰もいなくなった迷路みたいな教室で
席の間を彷徨い歩いて
たどり着いた机の角に触れながら
窓の向こうの空を見上げていた
それは遠い未来にも似てて
どうしようもない焦燥感に襲われる
言い訳ばかりが上手くなって
跳ね除ける力も逃げる勇気も出せなくて
ただ震える足で立ち尽くしていた
うつむく自分の横を風が通り抜ける
目を開くとカーテンが揺れて
黒板の方程式が踊り
チョークの粉がキラキラ光り
足音が教室から駆けて行った
明日なんてわからないから
未来なんてもっとわからない
わからないけど進まなきゃ
正解なんて未来の自分が決めるから
焦りも迷いも風に乗せて
明日の自分に会うために
廊下を飛び出して走りだす
サイン
れんげそうがゆれている
それはかわいいのサイン
カルボナーラを食べて笑顔になる
それはおいしいのサイン
跳ねる足音と浮かぶえくぼ
それはたのしいのサイン
流れる水面に乱反射する光と紅葉
それはきれいのサイン
噛みしめた唇の横を流れる涙
それはかなしいのサイン
顔を覆ってうつむく隣にただ寄り添う
それはやさしいのサイン
親友と付き合う君の幸せを祝うけど
振り返る君にかなしいのサイン
それはなんのサインなの?
僕はなんのサインが出ているんだろう