1/27/2024, 10:57:10 AM
お題:優しさ
凄惨な現場だった。こなすことはできても、目を瞑りたくなるような任務は山ほどある。
「七海サン、辛いときは泣いていいんですよ?」
よほどひどい顔をしていたのだろう。顔が真っ黒いスウェットへと押しつけられる。服越しに彼の規則正しい心臓の音が聞こえる。
彼の優しさに甘えて身体を預けたままにしていると、背中をゆっくりとさすりながら、髪にそっとキスを落とされる。くすぐったいが、振り払う理由はなかった。
「……少しは落ち着きましたか?」
あたたかい掌で背中をさすってもらい、そのまま抱きしめられるうちに、気持ちが凪いでいくのがわかった。
彼と付き合うまで知らなかった。誰かに両腕でしっかりと抱きしめられる――ただそれだけで、こんなにも心が穏やかになるなんて。
1/26/2024, 10:06:46 AM
お題:ミッドナイト
「あ、七海サンおかえりなさい」
帰宅してリビングのドアを開けると、ソファのうえに恋人が待っていた。すでに時計の針はてっぺんを越えている。街は寝静まっている時間だ。
「猪野くん、まだ起きていたんですか? 帰りは遅くなると連絡したでしょう?」
「え〜、だって寝る前に七海サンの顔見たかったんだもん」
甘えたような声でそう言うと、猪野がソファから立ち上がる。
「七海サン、遅くまでお疲れさまでした」
少し背伸びをして慈しむように頬にキスを落とす彼。
「……私も、君の顔が見られて嬉しいですよ」
1/25/2024, 11:29:24 AM
お題:安心と不安