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お題:ミッドナイト

「あ、七海サンおかえりなさい」
 帰宅してリビングのドアを開けると、ソファのうえに恋人が待っていた。すでに時計の針はてっぺんを越えている。街は寝静まっている時間だ。
「猪野くん、まだ起きていたんですか? 帰りは遅くなると連絡したでしょう?」
「え〜、だって寝る前に七海サンの顔見たかったんだもん」
 甘えたような声でそう言うと、猪野がソファから立ち上がる。
「七海サン、遅くまでお疲れさまでした」
 少し背伸びをして慈しむように頬にキスを落とす彼。
「……私も、君の顔が見られて嬉しいですよ」

1/26/2024, 10:06:46 AM