結呑

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2/1/2025, 11:08:04 AM

【バイバイ】


とある大企業の面接にて


「私にこのペンを売ってください」

「あなた口臭いですね」

「は?」

「よく見たら歯も黄ばんでますよね」

「いや」

「それによく見なくてもハゲ」

「」

「その質問を恥ずかしげもなく言える精神も逆に見習いたい」

「……」

「恋人できたことあります?」

「もうあなたは不採用です、お引き取りください」

「よかった、これでバイバイ成立ですね。」


「………」



「…………」



「……………どういうことですか?」



         普通に落ちた。

2/1/2025, 9:51:47 AM

【旅の途中】


かつて勇者は、魔王討伐の旅を故郷である
この村から始めた。
故にこの村は冒険者の聖地であり、わざわざこの村から冒険を始めようとする者も多い。
村は新進気鋭のルーキー達やそれを狙う商人等で
常に活気があり、今や村というより――街のような発展具合である。

―――さて、そんな街の外れ住む私は、この街が村だった頃の村長である。
この家は軽い丘の上にあり、村の様子がよくわかるのが当初はとても気に入っていたのである。
昔は街のように元気も体力も漲っていたが、
今では村のように、静かに、穏やかに暮らしている。
皮肉なもので、街が盛り上がればそれだけ、私は老い朽ちているような気がするのだ。
村長としては村の繁栄を喜ぶべきなのだが…まったく自分が惨めに思えてきて仕方がない。
そして、この年になってそんなことに悶々としているのも、またみっともないのだと思う。

そんなある日、街の行事に前村長として出席することになった。
最近は身体の勝手がきかなくなっていたこともあり、
まともに街に出向くのは数年ぶりである。
どこを見ても目に映るのは、活気ある若者たちの姿。
まるでひとりひとりが、かつての勇者のように、眩しくそこに存在している。
しかし一方で、街は意外と村の面影が見えた。
丘から見れば建物は高く、夜でも明るく、特に静かな彼の家では騒ぎ声まで届いたものだが、
道や区画は昔のままに、武器屋も、宿屋も、看板だけは変わっていない。
気づいてしまった。
変わっていたのは、「村と私」ではなく、「私」だけだだったのだ。
村は街となっても、旅を支え続けていた。
ただ私が気概を失い、人生の旅から降りただけなのだ。
街は、こんな私の旅も支えてくれるだろうか。
願わくば私も、旅の途中から………



11/28/2024, 11:41:43 AM

【終わらせないで】


私はちょっと特殊な悪魔。
デジタル文章を住処とする、ナウな悪魔である。
悩みは豆腐メンタル。
心が傷つくのでSNSとかの文章には住めず、
ここでひっそりと暮らしている。
しかし最近ここでも心にくる事があり、
つい最近自衛策を用意した。
それは「話を強制終了させる能力」
使い時は多々。
例えばそう――
今のようにロクに読まずにスクロールされる、
そんな悲しみを味わいそうなときとか?
















































まだ読んでいるだと…!(喜)


9/11/2024, 12:53:05 PM

【カレンダー】


ある日出会った悪魔に貰った、カレンダー。

日付の枠内に出来事を入れると、本当になる。

悪魔は言っていた。

これは天使から奪った代物で、悪魔には使えない。

天使用だから、悪事にも利用できない。

だからカレンダーを与える代わりに、契約を結ばせることにしたのだと。

効果が実証できない内は信用出来ない。

そう言うと、試しに一度使わせてくれた。

目の前の悪魔が今死ぬように書いた。

分かったことは二つ。

一つは、効果が本物であること。

もう一つは、悪魔の命を奪っても、それは“悪事”ではないということだ。







9/10/2024, 1:25:05 PM

【喪失感】


彼の名はアダム。
神に創られた最初の人間であり、《楽園》の生活を絶賛謳歌中である。

そして私はアダムの世話係の精霊“トリシマール”。
アダムの世話をしつつ、アダムの《楽園》ルール違反を取り締まる。
《楽園》のルールは主に3つ。

1.“禁断の果実”を口にしない。

2.“罪”を犯さない。

3.“欲”を出さない。

――なのだが。

アダムはこのルールを破りまくっている。
禁断の果実は日常食だし、軽犯罪レベルなら割とする。
「《楽園》ってパチ屋みたいだな」とか言う。

にも関わらずアダムが罰せられないのには、こんな理由がある。


楽園管理省へ

パワハラとか言われるのが怖いから、人間には優しくしましょう。

                     神様より


この手紙が来てから、監視とは名ばかりとなった。

ルールは形骸化、まさに“楽園喪失”である。


程なくして何故かパチ屋が建った。
この後滅茶苦茶堕天した。










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