キノ

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12/11/2024, 11:33:58 AM

お題 何でもないフリ

きみは何でもないフリが上手だね。

そう言われて心臓がドクンと跳ねた。胸に手を添え、ぎこちなく笑ってみせる。

ほらまた

そう目を細めておかしそうに笑う貴方に、私の心臓は嫌に鳴りっぱなしだ。ドクドク、ドコドコ。

「何でもないフリが
上手くてもいい事なんてないよ。」

そう震える唇が勝手に作り出した細い言葉を聞いて、貴方はようやくバツの悪い顔で

無理をしているから泣いてるの?

と言って顔を覗き込んでくる。私が泣いていたことなんて知らなかったフリもしてくれない貴方に、私は一瞬、瞳を驚きに瞬かせておもわずと笑ってしまった。悪意の無い言葉だと分かりホッと彼女の顔を、揺らめく視界にやっと映すことができた。

12/11/2024, 10:45:16 AM

お題 仲間
今回は、葬送のフリーレンという作品に
思いを馳せながら書きました。
大好きな作品です。


勇者より

夜空をゆく流星は、まるで、きみがうちだす魔法のようで、僕の胸は期待に大きく膨らんだ。
なぜ、死を目前にした老人が、これほどの喜びと期待に満ちているのか。
不思議なことはそれだけじゃない。
これからぼくの命は尽きるんだぞ、という絶対的な確信が、ぼくのなかにはあって。
ぼくの命を、まるできみが握っているような素敵な心地になっていたことも、不思議だけれど、全くもって僕らしいのかもしれない。

流星はまっすぐに降りかかる、きみの美しい魔法のようで、それを見ていたぼくは、きみに殺されたいかのような思慕にとらわれていた。

共に旅をして、共に闘って、孤児院にいた頃にはなかった自由と青春が、ぼくを窮地から何度も奮い立たたせてくれた。

きみに覚えていて欲しい。
ぼくのことを、
ずっと、ずっと、
ほんのわずかのカケラだけでもいいから。

ちなみに、ぼくは目を閉じてても、きみの姿を思い浮かべられるけれど、きっときみはそんな事はしないんじゃないかな。

そんな無駄なことして何になるのさ。

きっときみはこう言うだろう?
たしかに無駄なことかもしれない。
ぼくはそれでも、きみがいないときも
きみを思い出していた。

ぼくはきみを愛していたけれど、
きみは仲間である僕を愛していたからね。
それでもいいと思っていたけれど、やっぱりこの世からいなくなる瞬間まで、きみのことばかり考えてしまうぼくのことを、きみ以外の仲間は哀れに思うかもしれない。
そのとき、きみはきっと、わけも分からずに、みんなから叱らてしまうかもしれない。
ぼくの仲間はみんな優しいから。その理由はきみ自身が見つけるべきと諭されるかもね。
ぼくが居なくなったあとも、ぼくの想いに思考を巡らすきみを愛おしく思う。
あと少しだけでいい、ぼくに勇気があれば
きみとぼくはきっと、きっと──────