お題 何でもないフリ
きみは何でもないフリが上手だね。
そう言われて心臓がドクンと跳ねた。胸に手を添え、ぎこちなく笑ってみせる。
ほらまた
そう目を細めておかしそうに笑う貴方に、私の心臓は嫌に鳴りっぱなしだ。ドクドク、ドコドコ。
「何でもないフリが
上手くてもいい事なんてないよ。」
そう震える唇が勝手に作り出した細い言葉を聞いて、貴方はようやくバツの悪い顔で
無理をしているから泣いてるの?
と言って顔を覗き込んでくる。私が泣いていたことなんて知らなかったフリもしてくれない貴方に、私は一瞬、瞳を驚きに瞬かせておもわずと笑ってしまった。悪意の無い言葉だと分かりホッと彼女の顔を、揺らめく視界にやっと映すことができた。
12/11/2024, 11:33:58 AM