お題 仲間
今回は、葬送のフリーレンという作品に
思いを馳せながら書きました。
大好きな作品です。
勇者より
夜空をゆく流星は、まるで、きみがうちだす魔法のようで、僕の胸は期待に大きく膨らんだ。
なぜ、死を目前にした老人が、これほどの喜びと期待に満ちているのか。
不思議なことはそれだけじゃない。
これからぼくの命は尽きるんだぞ、という絶対的な確信が、ぼくのなかにはあって。
ぼくの命を、まるできみが握っているような素敵な心地になっていたことも、不思議だけれど、全くもって僕らしいのかもしれない。
流星はまっすぐに降りかかる、きみの美しい魔法のようで、それを見ていたぼくは、きみに殺されたいかのような思慕にとらわれていた。
共に旅をして、共に闘って、孤児院にいた頃にはなかった自由と青春が、ぼくを窮地から何度も奮い立たたせてくれた。
きみに覚えていて欲しい。
ぼくのことを、
ずっと、ずっと、
ほんのわずかのカケラだけでもいいから。
ちなみに、ぼくは目を閉じてても、きみの姿を思い浮かべられるけれど、きっときみはそんな事はしないんじゃないかな。
そんな無駄なことして何になるのさ。
きっときみはこう言うだろう?
たしかに無駄なことかもしれない。
ぼくはそれでも、きみがいないときも
きみを思い出していた。
ぼくはきみを愛していたけれど、
きみは仲間である僕を愛していたからね。
それでもいいと思っていたけれど、やっぱりこの世からいなくなる瞬間まで、きみのことばかり考えてしまうぼくのことを、きみ以外の仲間は哀れに思うかもしれない。
そのとき、きみはきっと、わけも分からずに、みんなから叱らてしまうかもしれない。
ぼくの仲間はみんな優しいから。その理由はきみ自身が見つけるべきと諭されるかもね。
ぼくが居なくなったあとも、ぼくの想いに思考を巡らすきみを愛おしく思う。
あと少しだけでいい、ぼくに勇気があれば
きみとぼくはきっと、きっと──────
12/11/2024, 10:45:16 AM