能力者になりたい佐々木海星(偽名)

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5/14/2024, 10:53:21 PM

【風に身を任せて】
僕は中学を卒業したあと、5年制の看護科に進んだ。僕の夢は看護師である。
?「看護師だって?お前がなれるわけねぇだろ。大した学力もないし、看護師なんて女がやるもんじゃねぇか」
中学1年生の時に、こんなことを言われた。その頃はとても頭が悪く、全くテスト勉強をしていなかった。提出物もお粗末で、成績も低い。僕はこの言葉を聞いたとき、これを言った奴らを見返すことにした。夢は誰にだってあるものだ。それを他人にピーチクパーチク言われる筋合いはない。そうして、僕は残りの2年間必死に勉強した。中学の友達を全部捨て、できるだけ頭の中でも勉強できるような思考にした。ただ、一人だけよく話しかけてくる奴がいたな。
 中学2年生のテスト。僕はまぁまぁの点だと思っていた。昔は平均が50点ぐらいだったか?それが40点も上がったな。まだまだか。しかし、そいつはどうだ?
海星「やったよ!総合点が400点を超えたで!」
左前におるやつは僕に向けてそういった。なぜこの程度で喜べる?本番は入試だそ?
僕「この程度で喜べるなんてな。」
海星「そりゃあ、1年よりも50点以上上がったんやから、そりゃ喜ぶよ。」
まぁ僕は200近くなんだがな。ここで彼との会話は途切れた。授業中は頭の中で予習したところの勉強。5分で出来る授業をなぜ45分も使ってやるのか、意味不明である。少しナイショクをして、また授業が終る。これの繰り返し。それが2年も続いた。
 受験当日。僕は公立高校の会場に来ていた。
海星「おう!久しぶり」
僕「久しぶり言うても前日休んだだけやん。」
海星「その1日会えなかったのが寂しんだよ?」
僕「ふ~ん。で?お前は自分が受かる受かると思うか?」
海星「モチのロンですよ。でも、そっちの方は確実に受かるでしょ。国立高校も受かってんだから。」
僕「はっ。当たり前だろ。看護科トップで入ってやるよ。」
あいつは普通科を選んだが、僕は看護科の道へ進んだ。そしてテストは終わった。お互い合格。入学式当日。教室に入って席に座る。男子がいない。女子しかいない。退屈だ。あの頃は他人であろうが話していたというのに。これから5年間。このクラスで過ごさないといけないのか。まぁ、時々あいつも来るって言ってたから、少しはマシだろ。
僕「全部、周りの奴らに任せるか。」
そう言って、僕は風に身を任せた。

5/13/2024, 10:45:02 PM

【失われた時間】
《Part1》
友達だと思っていた相手は私を騙していた。
相手「私達、友達やめよう。」
その一言だった。私は察した。この人は私のことを勉強のためだけに使う道具にしていたのだ。私は思わず絶句した。これまでに築き上げてきた友情。それが全て風化するように崩れ落ちてく。この時間は何だったのか。相手と過ごしてきた時間は何だったのか。裏切られた怒りと悲しみで次の日は休んだ。私はやっと気が付いた。無駄な時間を過ごしていたということに。さよなら、私の気持ち。はじめまして、「〜」。
《Part2》
僕は高校受験のためにひたすら頑張った。ゲームもせず、携帯も用事がない場合は見ないようにした。ひたすら復習。そんな毎日を過ごしていた。僕が目指していた志望校の偏差値は65。自分の模試は中2のときと比べ合格圏内まで達している。これもすべて毎日勉強してきたからだ。無駄な時間を潰し、できるだけ教科書を読んだり、参考書を独自で作り理解力を深めた。入試当日。僕は何も緊張していなかった。結果は合格。嬉しかった。それとともに、大学受験の準備をしないといけないと思った。大学入試は高校入試と比べ物にならないくらい大変だそうだ。中学生の頃の反省も兼ねて、今からでも勉強しよう。
作者「君はこの文を読んで、なんの時間を失ったかわかったかな?」

5/12/2024, 12:54:41 PM

【子供のままで】
「私はもう大学4年生。来年から晴れて社会人だ。親から離れて、一人だけの時間が過ごせる。やったー。」
と、大学4年生の初期に思っていた。しかし、社会人というのはそんなに甘くなかった。
 就職してからというもの。労働基準法で定められている8時間をきっちり仕事し、後輩のやり残しや間違いに目を向け仕事の延長をする。たまには上司から飲みに行かないかと誘われる。これらの残業はとてもきつい。6時に帰りたい私は「仕事のためだ」と思い込ませ、さらに仕事をする。それが日常になっている。朝8時に会社に到着し、家に帰宅する頃にはもう夜の10時ぐらいだ。
私「あぁ、子供に戻りたい」
親と一緒に暮らす生活を思い出す。あの時は楽だった。学校という仕事があるだけで、あとは自由だった。家事は母が。仕事は父が行っていた。子供に戻りたい。子供に戻ってずっと子供で…。そんな夢を抱くのであった。

5/12/2024, 7:59:12 AM

【実力主義の能力学校に通う底辺の男が…】
《前置き》
5月12日。僕は二次創作作品を頑張って作ろうと思います。目標『1年に長期編一つ』。まだ高校1年生になったばかりなので、作成に空きが生まれる可能性があったり、書き足し・書き消しが途中途中あるかもしれません。また、東方キャラではない登場人物が出ます。ご了承ください。‹能力者になりたい佐々木海星›の名前のところは、この主人公から来てます。本名じゃありません。
《本編》
 21世紀後半。前触れもなく世界に「能力」が出現した。人間を超えた力。今もなお、その理由は解明されていない。ただ、そのせいで世界の社会的形態が崩れ始めたような…。
 現在24世紀。多くの科学者により能力についてほぼ解明されている。この世界は平和だ。能力によってすべてが変わった。医学も建築も、天候や災害を予測することだってできるようになった。手を借りたい人がいれば知らない人でも差し伸べてくれる、手の取り合う世界だ。「能力は人に危害を加える道具ではなく、誰かのために使う力」という風潮が流れている。僕はこの世界に心の底から満足をしていた。何をやってもすべてが幸せであると思っていた。その学園に通う前までは。
 この世界には「法律」がある。それは、皆がルールを守り平和に暮らすための決まり事だ。人々はこれを当たり前のように守っている。その中で、「義務教育」というものがある。これは、皆が同じ期間、ある一定の年齢まで同じ内容を学校で勉強することだ。義務教育の時期を終えると自由になる。しかしながら、それを終えても良い生活どころか普通の生活も送れないそうだ。だから皆、自分の意思でいろいろな専門学校に通う。その中でも、僕の通う学校は弱肉強食世界。昔の実力主義の風潮が残る能力学園。下剋上も起こり得る戦場。能力者を育成する能力学園。そんな学校に通ってる。僕は行きたくなかったがなぁ。この学校は誰でも入学できる『定員はある』。そして、卒業すると、将来有望の存在として大企業などに声をかけられたりし、良い生活ができるそうだ。その情報で大勢がこの学園に入学する。実際、僕の親もその情報で僕こと佐々木海星を入学させたのだから。しかし、卒業できるのはごくわずか。その卒業生は、レベルの高い人ばかり。レベルによってA.B.C.D.Eクラスに分けられ、最低でもBクラス以上の生徒じゃないと卒業は難しいと言われている。3学年あり、一回目の進級する時期になると、レベルの低いEクラス。2回目はDクラス。3回目はCクラス、卒業時はBクラスのほぼ全員が、退学になる。なぜこのようなことをするかというと、「実力主義」というのもあるが、第1は、この学園が「最強の能力を生み出す」という目標を掲げているからであろう。または、人数が集まりすぎて減らさないといけなくなったから。そして僕はとある試験を行って退学の縁を歩くEクラスの生徒になった。オーマイガー。僕の能力がなぁ。悲しいがそんなこと考えてる暇はない。どうにかして約1年後の進級のときにDクラス以上にならないと。
魔理沙「よぉ。底辺」
学校の朝。僕が机に伏せて寝ようかと思ったとき、そいつは僕に声をかけてきた。
海星「お前も僕と、どっこいどっこいだろ?」
魔理沙「なわけねぇだろバーカ。」
霧雨魔理沙。よく僕に突っかかってくるクラスメイトだ。なんとなくウザい奴って印象だ。
魔理沙「私はこのクラスの中では一番強いんだぞ。すぐにでもクラス昇格戦に挑んでDクラスに上がってやるさ。そもそもクラス昇格戦に挑めるか挑めないかで私とお前の差は明白だろ。」
クラス昇格戦とは、一つ上のクラスの生徒に対して入れ替え戦をすることだ。挑んだ方が勝つと戦った相手とクラスが入れ替えられる。
海星「挑もうとしていないだけだ。まだ時間はある。ゆっくり自分を見て欠点を直さないと後悔するぞ?」
魔理沙「そんなにゆっくりしてたらチャンスを見失うんじゃぁないかな?」
何この会話、めんどいんやけど。そう思った僕は彼女を無視して教室を出た。
 教室を出て行った先は屋上。どうやら先客がいたらしい。
海星「なんでお前がここに?」
僕はその問いを彼女に向けた。
花奏「気晴らし。ホームルームまでは時間はたっぷりあるし、教室にいても何もすることがなかったからね。」
と、そっけなく言った。彼女は小林花奏。小学生の頃からの親友。彼女は頭もよく、能力も相当なものらしい。Aクラスのトップ。僕とは天と地の地ほどの差がある。
花奏「そっちは?」
海星「クラスにめんどくさい奴がいたもんで、ちょいと離れただけさ。」
花奏「はぁ。そこ実力で離さんと意味ないじゃん。」
海星「えぇ?僕、戦闘はちょっと…。」
花奏「さっさとクラス昇格戦に挑まないと、勝っても負けてもその後一ヶ月は戦えないよ?」
海星「え?そんなに待たないといけないの?」
初耳だ。まぁ、ポジティブに考えろ。チャンスは多くて12回もあるんだ。
海星「よし!僕、頑張るよ。」
花奏「具体的には?」
海星「ん〜。ない。」
花奏「お前は馬鹿か?もっとこう、身体能力の強化とか、戦闘の仕方の予習とかあるじゃん。」
海星「もう、ぶっつけ本番。負けたときに考える。」
花奏「はいはいそうですか。」
花奏は呆れた様子で言う。
花奏「じゃぁ、今私の前で自分の能力使って見てよ。」
僕の能力[直感を適中させる能力]はあまり戦闘向きではない。それ故、昇格戦に挑もうとしていなかった。しかし、今は戦闘というわけではない。ただ能力を使うだけ。僕は頭の中で意識してイメージし能力を発動しようとした。それから間もなく。
海星「!わかったぞ。今日のお前の晩飯はカレーだ!」
花奏「未来予知かそのたぐいの能力か?なら、戦闘でも結構役立つけど。まぁ、それだけでも知れたしいいや。今日のわたしの晩飯はカレーね。覚えとく。」
海星「もう帰るのか?」
花奏「うん。時間ちゃんと見なよ。」
その言葉を最後に彼女は階段を降りていった。僕はすることがなかったので床に寝転がりながら目を閉じるのであった。
海星「んん。今何時だ?」
光り輝く太陽が真上にあった。眩しい。それを認識して数秒後。僕はとっさに起き上がった。
海星「寝すぎた。」
ため息まじりの一言。なんと僕は寝落ちしていたのだ。急いで教室に戻らなければと思い僕は屋上を後にした。教室に帰って時計を見ると、もう昼休だった。僕は毎日登校するときに買ったコンビニ弁当を食べている。学校には売店があるが、高ランククラスの生徒ばかりであまり立ち入りたくないのだ。噂によると、低ランククラスの生徒がそこに行ったとき、低レベルだからと言う理由で順番を抜かされ、早く来たにもかかわらず、最終的に列の一番最後になり、何も買えない状態で帰ってきたとか、抜かした相手に「順番を抜かすのは良くない」みたいな事をいうと、校舎の裏に呼ばれて集団暴力を受けるとか。ひどいもんだよ。まぁ、噂だから本当かどうか確証はないけど。
海星「よし、今日はここにしよう。」
僕は毎日、校内のさまざまなところで昼飯を食べている。毎日違った風景。それに見とれてしまう自分がいる。今日はちなみに学校の隅の方にある、大きな木の下で食事することにした。僕が4分の1程度を食べ終わる頃、誰が僕のいる方向へ足音を立て向かってくるのに気が付いた。なんだか話しかけてきそうな気がした。
妖夢「隣、いいですか?」
??まさか、この人…僕に一目惚れでもしたのか?何故か頭の中で花奏が「なわけねぇだろ」というような眼差しでこちらを見てくるのが想像できた。ふむふむ。これは悩みどころだ。どう接しようか。コミュ障な僕でもできること。
妖夢「あ、あの〜。」
海星「は、はい。いいですよ!」
裏声が出てしまった。初対面の相手に対してなんで緊張するのだろうか。まずはそこから直さないと。
妖夢「お名前を聞いてもよろしいですか?」
海星「はい。Eクラスの佐々木海星です。時々、ここに来て食事をしています。」
妖夢「私はCクラスの魂魄妖夢と申します。」
Cクラス。え?高くね?というか僕がEクラスって言ったのに、表情や声色すべて変えずに自己紹介したぞ?この人、もしかして差別意識のない人なのか?疑問しかない。もしかすると売店の噂も嘘だったのかもしれない。
海星「ランクが高いですね。」
妖夢「いやいや。でも、私はこの学年の平均ですがね。」
海星「僕はどん底ですよ。」
妖夢「それでもあなたは余裕そうな顔をしてますけど。」
海星「あいにくと、ネガティブな考え方はとっくの昔になくなったので。それに、下向いてばかりいると前に進めないし。」
妖夢「じゃぁ、あなたはクラス昇格戦に挑もうとしているのですか?」
海星「んー。だいぶ悩んでます。はい。」
妖夢「出会ったばかりですが、私はあなたを見てとても強い人だと思いました。」
海星「それって精神的にってこと?」
妖夢「いえ。あなたが持つ能力です。」
は?僕の能力はただ感を当てるだけ。強いとは思わないが。
海星「戦闘向きではないですよ。」
妖夢「でも、あなたがそれを使いこなせば昇格戦に勝てると思いますよ。」
僕は期待されているのかもしれない。夢のまた夢の話を。でも、僕はポジティブに考えられる思考を持っている。人間の可能性は無限大だ。誰かがやり遂げれたことは僕にだってできる可能性はあるということだ。この能力世界に不可能はない。
妖夢「私は今日昇格戦を挑みました。あなたも早くに挑んでクラスランクを上げていってください。あなたがDかCクラスにいる頃、私はBかAクラスにはいってるでしょう。」
そんな確信の籠もった言葉の後。
妖夢「頑張ってください。あと、次会うときはお互い敬語無しで。」
と言い残して魂魄妖夢は弁当の蓋を閉め去っていった。僕ももうそろそろ戻るとするか。僕は重たい腰を上げ自分の教室へと帰るのであった。
 残りの授業が終わり放課後。僕はこの学園の体育館にやってきた。この体育館はとても大きく、両側の側面には4階建ての1000人以上が座れる観客席がある。大勢の観客(生徒)がいる中それをわって入るようにして中央が見える位置に来た。僕がいる場所は観客席の三階そこから見下ろすように下を向くと魂魄妖夢の姿と見知らぬ男がにらみ合いながら立っていた。そうだ、これはクラス昇格戦だ。いつ始まるのだろう。そう思った僕は時計の方に目を向けたその時だった。
進行役「これより、第一回クラス昇格戦を始める。ルールを説明する。制限時間は20分だ。その間に挑んだ者は相手を先に戦闘不能にさせることにより勝利。挑まれた者は挑んだ者と同様、相手を先に戦闘不能にさせること。また、制限時間を超えたときに立ててまだ動ける状態であれば勝利。戦闘において得物を使うのもありだ。ただ、殺しはなし。以上だ。では。はじめ!」
昇格戦が始まった。魂魄さんの手には木刀がある。それに対してあの男は素手らしい。緊張の空気が漂う中、二人は全く動いていない。お互いがお互いを警戒している。すると、魂魄さんがその男の方へ突然走り出した。男は魂魄さんの行動を予測し、バックステップで魂魄さんの攻撃を避けている。大きく後ろに下がった男は左手を右腕に掴み、何やら変な動きをしている。その隙を魂魄さんは見逃さなかった。勢いよく前進し、男の左手首に狙いを定め、渾身の一撃を放とうとした。が、男は瞬時に動き、振りかぶろうとする木刀を右手の拳で殴った。驚きである。木刀を落とした魂魄さんはすぐに走った。木刀を手に取る。その刹那、男が魂魄さんに一撃を与えた。華奢な体の魂魄さんは、またも木刀を落とし、数メートル先に吹っ飛んだ。男は落ちた木刀を遠くへ放り投げ魂魄さんの方へ向きなおる。魂魄さんは立ち上がった。しかし、その体はもうボロボロだ。あの一撃で相当ダメージが入ったのだろう。魂魄さんは肩に手をおいている。立っているだけでやっとのようだ。男は何やら口を動かしている。なんて言ってる?ここからじゃぁ聞こえねぇ。男は言い終えた様子で腕を上げた。魂魄さんが意識のない中でも戦えるのなら…。そして…。
 (妖夢視点)私は一瞬、何が起きたのかわからなかった。後方に落ちた木刀を取っただけなのに、相手とも、ある程度の距離はあったのに、その男は私の目の前に、拳が真横にあった。
妖夢「ぐぅ。」
壁に激突した私は背中に走る痛みをこらえながら立ち上がった。負けるわけにはいかない。肩を抑えながら男の前に立つ。すると、
男「残念だったな。お前は引きが悪かった。俺のクラスの1番か2番目に弱いやつと戦っていたら勝てたかもしれないな。だが、俺はそいつ等とは違う。これでも一様、Bクラスのトップだ。お前はまだ未熟だ。改めて挑んでこい。まぁ、俺は先にAクラスにいるけどな。」
あぁ、視界がぼやけて力が抜けていく。私は負けたのだ。私の意識は暗闇の中へと沈んでいった。
 魂魄さんはまだ立っている。危ない。彼女は腕を脱力させた。そして、男はその拳を放った。だが、それは空を切った。なんと魂魄さんは最初の戦闘よりも素早く動いて手には木刀を握っていた。男も観客も驚いた。男はすぐに体制を整え魂魄さんに向き直る。すると、魂魄さんは男に突っ込んだ。男は正面からの攻撃に心を落ち着かせ防御の体制になる。が、魂魄さんはすぐに背後に周り木刀をそいつの首に1刀。大歓声で体育館を響かせた。
 日差しが窓から漏れている。青く澄んでいた空もだんだんと暗くなり、輝く太陽も西へ沈んでく。そんな中、僕は保健室にいた。ベッドには魂魄さんが寝ている。あの男を倒した後、魂魄さんは意識を失い倒れた。相当限界が来ていたのだろう。でも、最後まで戦い抜く彼女の姿はかっこよかった。この人は、僕にとって見習うべき存在だ。僕も体を動かさないとな。
妖夢「ん。あれ?私は」
海星「大丈夫?」
あの時に敬語を外せと言われたので、僕はそれを外して話すことにした。
妖夢「うん。大丈夫。なぜ、佐々木くんがここに?」
海星「海星でいいですよ。いやぁ、魂魄さんの試合見てたよ。もうすっごいかっこよかった。最後に、相手の首もとにあの一撃。あれ食らったら僕死んでるよ。」
妖夢「え?私、あの男に一撃も与えてないですよ?」
海星「?でも魂魄さん、昇格戦に勝ったじゃん。」
妖夢「?そんな記憶、見覚えが…」
海星「まぁ、勝ったんやからそれでええやん。」
妖夢「そう、ですか」
この学園は結果が全てなのだから。それにしても、魂魄さんはBクラスか。早くね?今日出会った人がもう昇格した。やべぇぞ。周りの人からどんどん差が生まれている。一旦、考えるのはよそう。魂魄さんの安否も確認できたし、帰るとするか。そうして、僕は立ち上がり魂魄さんに背を向けた。
妖夢「海星も早く昇格してくださいね。」
そう言われたので僕は一度後ろを向いた。
海星「当たり前のクラッカーですよ。進級時期になる前にはDクラスまで行きますって。」
妖夢「Cクラスね。」
海星「いや、Dクラ…」
妖夢「Cクラス、ね?」
海星「えぇ!?無理無理無理無理。底辺の奴がそこまでいけるとは…」
妖夢「稽古しに来てください。私のおじいちゃんは道場をやっています。明日放課後にでも来てください。」
海星「はい。」
僕は念押しには弱い。この学園に入学したのだってそうだ。親が「この学校、むっちゃいいよ。」「卒業したら将来有望だって。」って念押ししてきたのだから。親も馬鹿である。一切悪い点を見ちゃいないのだ。まぁそれも、僕と同じポジティブ思考だからなのだろう。遺伝ってすげぇ。頭の中でそんなことを思いながら、保健室を出るのであった。
海星「ふぁ~。ねっむ。今何時や?」
時計を確認し、準備をしてすぐ家を出た。遅刻ぎみだ。昨日寝る時間を惜しんでゲームやってたからなぁ。良い子は真似しちゃだめだよ。学力・記憶力が低下し、眠くて授業に集中できなくなるから。もっと勉強して、普通の高校や大学に行かないと。僕みたいな変な学校はあまり良くないからね。あれ?今僕誰にこんなこと言ってんだろ?んなことどうでもいい。走れ!遅刻するぞ!俺の足は車読みも早いんだ。足の速さなら誰にも負けない。そうして僕は全力で走った。
海星「ふー。なんとか間に合った。」
ほんとギリギリだ。足がいたい。いつもよりも早く走れた気がする。
魔理沙「おぉ、海星。いつもより遅いじゃないか。昨日はいたけど遅刻して、今日はほんとの遅刻かと思ったぜ。」
海星「僕は遅刻しねぇよ。」
魔理沙「でも、昨日は…」
海星「あんなの僕にとっちやぁ例外に過ぎない。太陽が悪いんだ。」
魔理沙「あぁあ。そうやってモノのせいにするんだぁ。」
海星「勝手に言っとけ。ほら、時間を見ろ。」
魔理沙「それ、お前が言える台詞じゃないと思うがな。」
そんなことを言いながら、魔理沙は自分の席に座るのであった。
ガラガラガラ。担任が何か持って入ってきた。相変わらず僕らを下に見るような目線で話す。なんなんこいつ。おっと、失敬失敬。口に出しとったらボコボコにされるところだった。
担任「今から、能力調査を行う。番号順に、この機械の画面に触れろ。ランクはSからFまである。これを見て自分の能力がどれだけのものか知っておけ。」
クラス中が騒ぎ始めた。
魔理沙「海星よ。勝負しようじゃないか。」
海星「なんでお前こっちに来てんねん。勝負はしねぇよ。強さがバレルじゃねぇか。」
魔理沙「自分の能力が弱くて見せられない、みたいな。」
そこで魔理沙はくすくすと笑う。
海星「僕の能力。上クラスの人から強いって言われたんだけど。」
魔理沙「はっ。そんなのデタラメだろ。」
鼻で笑いながら僕を煽ってくる。
魔理沙「まぁ、私の能力は戦闘向きだからな。AかBランクぐらいだろ。」
海星「もし違ったら?」
魔理沙「受け入れるしかないだろ。これに関しては変えられないことだから。」
海星「もうそろそろでお前の番で。」
魔理沙「もう、私か。期待して待ってろよ?」
とても余裕そうだ。ニコニコ笑顔で列に並んでるぞ?僕も並ぶか。僕は立ち上がりその列へと並んだ。いよいよ僕の番だ。緊張する。まぁ、高くてC低くてFってところか?あぁ。こんなん気にしてもしょうがない。結果は変わらんし。僕はその画面に手のひらをかざした。「S」。は?え?what?
担任「え?」
担任も僕のランクを見てびっくりしてる!?
担任「佐々木くん。後で校長室へ来なさい。」
海星「え?は、はい。わかりました。」
えぇぇぇぇえ?校長室?なんで?そんな疑問が頭に残った。
魔理沙「んで?お前はどうだったんだ?勿論。私は予想してたAだぜ。」
海星「僕は…その…言えないっす。」
魔理沙「はは〜ん。どうせEかFが出たんだろ?まぁ、そう落ち込むなって。」 
その逆である。僕の能力はそんなに強いのか?確かに、魂魄さんには言われたけど、自分自身、それを認識していなかった。嬉しいのか喜ぶべきなのか、よくわからない。まぁ、これは能力の結果であって、僕の実力ではない。結局のところ、まだ僕は弱い。能力を使いこなせていないからだ。とにかく、魂魄さんの道場でいろんなことを学ぼう。
魔理沙「お~い。聞こえてるか?耳鼻科行連れてってやろうか?」
海星「全部聞こえてたよ。」
ごめん。何も聞いてなかったっす。
魔理沙「じゃぁ、私はなんて言ってたでしょう。」
海星「…私は天才みたいなことでしょ?」
魔理沙「やっぱ聞いてなかったじゃん。もう1回言うけど、私はこれを沖に自身がついた。だからクラス昇格戦に挑もうと思う。そこで、お前と勝負しよう。来週、昇格戦をお互いがするんだ。拒否権はないぜ。もし、断ったら2ヶ月昇格戦禁止な。」
海星「えー。しゃぁないな。僕、頑張るよ?」
押しには弱いと再実感する。
魔理沙「どうせ非力ですぐにやられるんじゃ?」
海星「なわけ無いだろ。僕は行ってみせるさ。」
魔理沙「底辺の底辺に?」
海星「チゲぇよ。最高点に。」
魔理沙「高い夢をお持ちで。まぁ、叶うかどうかはお前次第だがな」
と言いながら魔理沙は僕から離れていった。話がすんだようだ。とりあえず、この授業どうにか乗り越えよう。