街
今、住んでいる街は、
通り一本挟んで、危ないお土地柄、
というのがよくある。
・何々系の人が多く住んでるから危ない
・〇〇教の建物が多くあるから近寄らない
・再開発のおかげで綺麗になったけど、
昔から住んでいる人はここには行かない
・大通りはまだマシだけど路地には入らない
・夜は出歩かない
などなど。
人が多いので、
毎日のように火事やら殺傷事件やらある。
私の故郷の町で、
殺人事件なんて起ころうものなら、
蜂の巣を突いたような大騒ぎだったのに。
でも今の街はパワーがある。
イベントや催し物が週末ごとにあり、
子供も多い。
光と闇は、紙一重なのだろうか。
朝日の温もり
「あー、朝焼けだよー」
私は、自分の腫れぼったい目を、携帯の動画通話の小窓に確認しながら呟いた。
「そうかー、こっちはまだかなあ」
ミツルは寝てないのに寝癖でボサボサの頭をふぁさふぁさ撫でている。
今日のトークテーマは、推しのライブに行くまでの心構え、及び、下準備。
体力作りには何が良いか、アリーナでの大型ライブなので、衣装展示などもあり、
それらの攻略法、さらに対バン、仲の良い
バンドも一緒に出るので、そちらのバンドに
あまり詳しくない私に、お勧めのアルバムは、などなど。
話していたらすっかり朝になってしまった。
「ミツルは今日予定、何」
ミツルは目玉をぐりん、と上方向に回転させ思い出す顔つきに。
「んー、昼まで寝て、バイト。一旦帰って、夜のバイト」
「掛け持ち、乙です。ミツルがこれからの日本を支えるです」
私はぺこりと頭を下げて答える。
「じゃあ、コトハも病院だろ?気をつけて行ってき」
「うん…」
私は、今すぐ死ぬ、なんてほどじゃないけど、持病がある。
「やだなあ、また血ぃ取られるー。看護婦さん上手いと良いけどっ」
わざと、おどけて見せる。ほんとは、嫌だ。採血も、どこまでも続く白い病院の廊下も、待合室で淀んだ水槽の中にいる気分に
なることも、腫れ物を触るように私に接する両親も、自分の将来も、何もかも。
「…がんばれ。応援してる。…愛してるから」
ミツルの、そんな言葉と、
朝日の温もりに包まれて、私は少し、
泣いた。
電話の向こうのミツルに気づかれないように、泣いた。
ライブは、1ヶ月後。
推しにも、ミツルにも会える…。
それまでがんばろう。ぜったいにサイコーのライブにするんだ。
2人の声が重なる。
「おやすみ」。
世界の終わりに君と
普通にご飯食べたい。
今までに君が美味しいと言ってくれた料理を
テーブルいっぱいに並べ、
寝室でラジオで音楽か、
好きなCD(CD!)かけて、
曲にまつわる思い出話なんかして、
あと最後に話しておきたい人に電話して
かな。
いかんこの年になると現実的…?
最悪
最悪、といえば
最近、「最高」を「最幸」
と書く人を見かける。
それよりは昔からあるけど、
「元気」を「元氣」とか。
意識高い系の方のような感じ。
さらには、
「私」を「和多志」と書いて読ませる界隈もあるらしい。
ここまでくると、キラキラネーム界隈と仲良く手を繋いで、フラメンコ踊りそうですね。
無駄話でした
失恋
「タケルってさ、俳句するんでしょ?」
ミコは、クッションを抱え込んでソファに
座り、猫背でテレビ画面を見つめたまま
言った。乾きかけのフェイスパックが
ひらひらしている。
タケルは、歯を磨きながら、何だよ
ヤブカラボウニ、と思ったが、
「うん、それらしいものをxで呟いたり、
するね。でも今俺ら、同棲するかしないかについて話してなかったっけ?」と、若干泡でモニュモニュしながら言った。
ミコは前を向いたまま、
「うん、それでさ、ちょっと調べたの、
俳句の先祖の一つに、連歌っていうのが
あってさ」
タケルは口を濯ぎながら、
「家とかについて調べたんじゃないんかい」と心の中で突っ込む。
「で、連歌って、連歌には "式目" って
言われるルールがあってさ、
例えば、100 句の中で 1 回しか使っちゃだめな言葉が決まってたり、同じジャンルの
言葉は続けて使っちゃだめ、春や秋の句は
5 回連続したら次からはストップせんと
いかん、恋の句がいったんストップしたら
再開するまで 5 回待つ、とかさ、
要は地雷みたいな初見殺しみたいなルールがあるわけ。
でタケルってさ…」
ミコはフェイスパックを勢いよく剥がして言った。
「今まで私の地雷踏み抜いてきたわけ。」
コップを持ったまま、タケルの首筋に冷たいものが伝う。溜め込んで爆発する系だったのか、ミコは。やばいぞこれは。
「た、たとえばどんな地雷…?」
「私が春の句を5回詠んでるのにストップしてくれない」
「具体的に…」
「モラハラだよね、私あなたの妹ちゃんに
会いたくないって言ってるのに、初め小出しに言って、最後は、もう会いたくない!
って言っても、悪気ないんだ、あいつ日本語下手だから、で済まされる。
会うたびにあなたのいないところで、
あ〜そのカバン駅前でバーゲンしてたやつ〜、とか、ミコさんの学歴でお兄ちゃん
OKしたんだぁ〜、とか言ってくるのに、
あなたはいつもいつも妹の…!」
「だから、別れましょ」
タケルは、わあわあと食い下がったが、
ミコはもうタケルのちょっとした荷物を
まとめていた。
じゃ、とタケルのパジャマの上に春コートを着せて、段ボール持たせて、
文字通り放り出された。
「妹ちゃんによろしくねえ〜」
と、ミコは笑顔だった。
ああ…タケルは夜空を仰いだ。
失恋の句、浮かんでこねえや。
以前、書く習慣を本にしたいとつぶやきましたが、それらしいものを作れそうです。
ご存知の方も多いと思いますが、
ハートの数のページ?で、「自分の作品」をタップ→右上のマルに3つのポチをタップ→上から2個目のURLをコピーをタップ→スマホのメール機能で、ワードなどで編集できる
パソコンなどへメールにURLを貼り付けて
送る→パソコンなどに書く習慣のアプリが
なくても、URLをクリックすれば開く→
ワードなどに貼り付け、体裁を整えて
印刷する
私は2段組にしても50ページくらいになりました。両面印刷しても25ページ。
どうしよう。