1つだけ
この人は、母をしめ殺したのと同じ手で、
私をあやして乳をやり、頭を撫でて
育ててくれたんだなあ。
そう思うことがある。
私の父は、ひとごろしだ。
私の母、自身の妻を殺した。
しかし超法規的措置により、
罪に問われることも償うこともなく、
私を育てた。
当時父への嘆願活動が日本中に巻き起こり、
「法は母を奪い父も取り上げるのか」とか
大変だったと父は笑っていた。
そこらへんは私はよく知らない。
ただ、父に聞いたことがある。
おかあさんに1つだけ感謝するならなに?
答えはこうだった。
あなたを残してくれたことだよ。
母は、もう長くなかったらしい。
母の看病と、私の子育てで、
父はおかしくなる寸前だったらしい。
何が正しいとか、誰が悪いとかはもういい。
私の父は、この人だけだ。
ハッピーエンド
こうして書く習慣をまあまあ続けて
いるわけだが、
これが区切り、というか、ハッピーエンドが見えないのが今の悩み。
書く習慣さんと、何か、
しまうまプリントさん☜フォトブックをお安く作ってもらえる
的なところとコラボしていただいて、
本を!今まで書く習慣で書いてきたものを
まとめた本を!
出していただけないかなあ…妄想してます。
お金なら少しなら払います。
特別な存在
好きだけど大好きとはいえない
嫌いにもなりきれない
いつもそばにいると思いきや
時には遠く感じたり
ふるさと
泣かないよ
そんなのは無理
貴方の歌声 眼差し 指先
このホールを満たす世界観
貴方はきっと現代の憑座(よりまし)
私たちすべての想いを受け取って
昇華する
貴方の言葉が
私のこころに 刺さって 刺さって
泣いてしまうの
月夜
「私、月光浴が習慣よ〜」
会社のスピ先こと、
スピリチュアルにハマっている先輩お局は、うっとりとのたまった。
私の周りに三、四人いた同僚は、
ちょっとお手洗いに〜、とささっと
はけてゆく。しまった、壁際だ、捕まった。
「げ、ゲッコウヨクって…?」
別に聞きたくはないが、
社会人として流れを読む。
スピ先は、キラキラのスピのオーラを
漂わせながら言う。
「そう〜、満月の夜に、月の光を浴びると、リラックス効果があるらしいのよ〜。
パワーストーンを浄化したりね〜、
かのクレオパトラも月光浴したのよ〜」
薬事法に違反しない程度に、
あるらしい、と言いつつ、
パワーストーン、浄化、クレオパトラ、と、なかなかのパワーワードを吐く。
スピ先自体、年齢不詳独身、
この課の生き字引、かつて同期に、
カタカムナとかいう古代文字で書かれた
ラブレターを送りつけ、
「呪いの文書」としてパワハラ係に
調査され、ラブレターは課の金庫に
仕舞われたという猛者、
ある種の特級呪物である。
「あとね〜、町外れの住宅街の中に、
英国風の月光浴カフェがあるらしいわ〜。
満月の夜しか開店せず、眼帯をつけた隻眼の
イケメンが一人で経営してるらしいわあ〜」
「え…」ピクッと反応してしまった。
私の中のオタク女子、厨二病気質が疼く…!
「あ、興味ある〜?
今日満月だし、良かったら〜」
「あっスミマセンッ、
今日までの資料まとめが!」
よし、今度は逃げられた。
懐かしいチャイム。
うちの会社の古めかしい、終業の音だ。
スピ先に捕まらないように、
私急いでますモードで会社を出る。
と言っても実際は急いでなどいない。
いないのだが。
月光浴カフェが気になる。
出たばかりの満月に照らされながら、
住宅街を彷徨いますか…。
あわよくば、イケメンと月光に癒されよう。
あ、でもスピ先に会う可能性があるのか…汗