ことり、

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2/11/2024, 2:55:44 PM

この場所で


胸のつかえはそのままなのに
なぜか笑える気がしてる
あいかわらず濁っているのに 
飲み干してしまえそうだ
錯覚でも歩いて行けるだろうか
とりあえず
やさしい無関心さの充満するこの
喫茶店で待ち合わせる

2/10/2024, 5:26:55 PM

花束













よ 


季語 大花野(おおはなの)
花野の傍題(仲間の季語)
秋の季語 秋の草花が一面に咲き乱れる広々とした野原。



誰もがみんな



















季語 やんま 
蜻蛉(とんぼ)の傍題(仲間の季語)
秋の季語

毟る は むしる と読む

2/8/2024, 2:54:37 PM

スマイル


チャップリンはこう言う
「笑って 涙溢れそうな時こそ 
頑張るんだよ」
って
泣いちゃえば良いぢゃん
泣いちゃえよ、
チャップリン。
涙のあんたも素敵だぜ

2/6/2024, 5:45:15 PM

時計の針


「ひとごろし!」
辺りがざわっ、とした。
人で溢れ返る、午後のフロアに、
響き渡る少女の
いや、それよりもっと幼い女の子の声。
何歳かは自分にはわからないが。

その声が自分に向けられたものと
わかるのに、少々時間がかかった。
女の子の横には両親と思われる男女がおり、声の主は足を踏ん張り、唖然としている
母親のスカートを握りしめて立っていた。

「え、と、君は、なんでそう思うのかな?」
目線が合わないので屈(かが)む。
「そのせいふくのひとは、ひとごろしだってお兄ちゃんが!」
そう、制服の人、自分は警官だ。今日はショッピングモールのパトロールに来ている。

「お兄ちゃん?」
「そう、お兄ちゃんは凄いんだから!みんなを助けるために、爆弾とかも作れるの!」
爆弾とは穏やかでは無い。
ようやく事態を把握したらしい母親が、
「カオリ、お兄ちゃんって、隣の…?」
「そう、右手に、星の印の火傷のあるお兄ちゃん!人を助けた時に、神様になったお兄ちゃんの弟がくれたって印!」

…何度時計の針が回ろうと、
俺はお前を許さない。
俺はまたお前の前に現れて、弟の仇を…
脳裏に蘇る、奴の声。

「先輩、そのお兄ちゃんて、まさか…」
自分は出来るだけ声を柔らかくして言った。
「カオリちゃん、そのお兄ちゃんの名前、もしかして〇〇、とか、××かなぁ?」
奴がよく使う偽名を言った。
カオリちゃんの顔がパッと明るくなる。
「そう、〇〇お兄ちゃん!…ひとごろし、
じゃなくて、お友達?」
カオリちゃんが首を傾げる。
「そう、お友達だよ、
ずいぶんと昔からのね」
すっと立ち上がり、後輩と目で会話し、
無線で連絡を入れた。
連続爆弾魔、〇〇の潜伏先がわかったと。

2/4/2024, 12:19:08 AM

1000年先も


「1000年先の未来も、私たちは生き残る。」
「私たちは、未来の子ども。
大切なのは、共有、共同の精神。」
毎朝の経典の復唱。

私たちは、ある教団に属している。
ここでは、戦争や災害が起ころうとも、
生き残ることができるように、
サバイバル術の習得や、備蓄に励む。
そして、特徴的なのは、
「個」は存在しないことだ。

家族で入信した人も、
家族の単位は解体され、
ばらばらで生活する。
個人の持ち物はなく、
服や食器、寝る所なども共有、共同。
そうすることで、
個人の力が最大限発揮され、
終末の日さえ乗り越えられる。

と、思っていた。本気で。

「脱走者だ!捕まえろ!」
「東の崖だ!追い詰めろ!」

いやだ。いやだ。いやだ。
もうこんなところはいやだ。
俺は戻るんだ。1000年先の未来より今だ。
今が大事なんだ。共有、共同?
そんなものどうだっていい、飛べーーー。

その日、東の崖から1人の男が飛んだ。
その後の彼の行方は、杳(よう)として知れない。

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