ことり、

Open App
11/10/2023, 3:46:56 AM

脳裏

その光景が脳裏に浮かぶ。
まるまるとした赤ん坊を抱き、
周りの拍手する人々に、
ありがとうありがとうと頭を下げる私。
上気する頬。
人々はさらに泣き叫ばんばかり。
と、赤ん坊は身をよじってのけぞり、
私の懐から抜け落ちた。

落ちたー照明がガチッと切り替わり、
真っ暗に。人々は無表情で立ち尽くす。
赤ちゃんは、赤ちゃんは何処⁈
私は足元を必死で探す。いない。いない。

そこで目が覚める。目尻に涙の後。
いないのです。私には初めから、
幸せなど。

11/8/2023, 11:44:39 AM

あなたとわたし

何度でも
堕ちてゆく
あなたとわたし
とぢた円環の中で
醜い輪舞曲(ロンド)を踊りましょう

意味のないこと

意味のないことなのに
怖がることは
私を痛めつけたかつてのあなたはもう
存在しないし
私の前には現れないのに
削り取った歯の
神経の痛みのように
私はまだ恐怖している

11/7/2023, 2:32:44 AM

柔らかい雨

先ほどから、陽だまりで雨に打たれている。
年季の入ったベンチで、齧り掛けのパンも
そのままに。
周りの人はそんな俺も特に気には
していない。
柔らかい雨…慈雨とか、恵みの雨とか、
英語ではwelcome rainとか、blessed rainって言うんだろうな。故郷では、晴れてるから
狐の嫁入りとか何とか。
いつまでも、この優しさに打たれていたい。
どこにも、帰りたくない。
俺の心が、泣いているのだ。
それを天が、癒やしてくれているのだ。

こんなとき、フィクションでは、
狐の子供が、蕗の傘でも
差し出してくれるんだろうな。
そこから冒険が始まって…

「おじさんっ、傘、あげるからさしてっ」
目線を上げると、そこには本当に狐の子供がー
ではなく、黄色いカッパを着て、フードが
ちょうど垂れ耳になって、
緑の傘をさした子供が。
「え、あの、いや、イイヨ、君が、僕が、
風邪引くよ」
何言ってるんだか。
「いいの、ぼく、カッパ着てるし、この傘、
振り回して穴空いたから、
今度買い替えるってママが
言ってたやつだから、おじさんにあげる」
と、を傘をぐいぐい押しつけてくる。
「じゃあねっ」
「ああ、あー…」

降り続く雨。
おじさんに、緑の子供用傘は、
きついなあ…。

11/6/2023, 2:16:28 AM

一筋の光

一筋の光
りりり
遮り
りりり

りりり
黙(だんま)り
りりり
祭り
りりり
絡繰(からく)り
りりり
護(まも)り
りりり

11/4/2023, 1:36:00 PM

鏡の中の自分

鏡の中の自分は
泣いてる?
笑ってる?
怒ってる?
喜んでる?
それとも
そのどれでもなく
無表情 無感動 = 無価値?
あの日
無意識に感情を押し殺すことを始めた
あの日から
そのことに気づいた日
感情を表現出来るようになった今

改めて
鏡には何が映るのだろう


哀愁をそそる

哀れだなあと思う
とても高くて
頑丈で
乗り越えられない壁
私を拒む崖
のように思っていたのに
今は
老いさらばえた 唯の人
時の流れは残酷で平等だ

いつか私もそちら側に行くのだろう

Next