ことり、

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9/25/2023, 3:39:16 PM

傷ついてないふりも、疲れたな。

実家から帰る高速バス。
窓の外に広がる田園風景。
季節ごとの田んぼを眺める良い機会だ。

だった。もう最後になるかもしれない。
親と同居してる姉の、 
介護の愚痴。夫の愚痴。仕事の愚痴。
田舎の愚痴…。
私をサンドバッグにして、
姉の日常は成り立っていた。
いつものように、姉が言うだけ言って、
あなたは独身で身軽で良いわねえ、
都会で気楽で。と

殺意が湧いた。
静かに言った。
私、お姉ちゃんのトイレの汚物入れ?って。

それからはよく覚えていない。
事務的にバスの予約をとって、荷造りして。
姉に反抗したのは初めてだ。

私は、親を、家族を、捨てたのだろうか。
それとも、捨てられたのだろうか。

窓から見える景色が滲む。
運転手さんがちらちらこちらを見ている、
ような気になる。
何だと思われてるのだろう。失恋?
んなアホな。

次は〇〇バスターミナル、終点です

さあ、切り替えよう。
独身で身軽な、都会の気楽な日常だ。
バスを降りると、雑踏に紛れる、
ただの旅行者。ガラガラ引いて、
お家に帰ろう。私だけのお家に。

9/24/2023, 12:41:12 PM

BUMP OF CHICKENで、
「ジャングルジム」という曲がある。
幼い頃の思い出から、
今電車に乗っている自分まで
鮮やかに展開し、
「未だに心の本当は 
ジャングルジムの中にいる」と
歌ってみせる。
何となくギターを爪弾いていたら、
出来た風の歌。

BUMPは「太陽」なんて重い歌もあって、
好きなバンドのひとつ。


形の無いもの

愛とか、信頼とか、友情とか。
形が無い分、言葉や、態度や、
行動に表さないと、
いくら心の中で思っていても伝わらないもの。
水を遣らないと、どんな感情だって枯れる。

9/23/2023, 6:52:06 AM

週末の駅前
政治家が がなっている
「安保法がー」
「社会保障がー」
「我々は闘うー」
だから清き一票を 清き?
僕はそれを聞くともなく聞いている
通勤電車の定期を買いに
そして早く家に帰るために
その時
顔に包帯を巻いた女性と目が合った
彼女ははっと顔を背(そむ)けて
歩き去った
言っていただろうか 僕の口が
可哀想にと
語っていただろうか 僕の目が
同情を
僕は不意に物悲しくなった
でも僕は強くあらねば
他人に薄っぺらい同情を
している場合じゃない
妻のため 娘のため 僕は強くあるんだ
だから家に 早く早く 帰るんだ 帰るんだ

9/21/2023, 10:20:04 PM

灯台守のトーチ

魔法使いのリリは、この辺りでは
腕利きの魔法使い。
足腰の痛みをとるせんじ薬や、
失せ物が出てくるおまじないなど、
皆んなが頼りにしている。なかでも、
今の季節のヒット商品(?)は…
「惚れ薬ね」
リリは、女学校の生徒たちから大口の注文が入ったと、忙しそうだ。
「やっぱり秋の注文が多いかしら。
人肌恋しくなるっていうか」
リリはトーチと同じ年頃の15.6才。
なんだけどこの仕事をしてるからか、
ませている。
亡くなったおばあから仕事を受け継いだ
ところとかは、トーチと似ている。
金色の瞳、ばさばさの長い黒髪をふたつに束ねて、時々眼鏡も掛ける。
眼鏡は、文明の利器なのでは、と思うが、
今は古き良きものと新しき良きものを
分け隔てなく使う時代。
魔法使いがいて灯台がある時代なのだ。

「ところで、惚れ薬の材料って何?」
トーチは聞く。
「そうね、オレンジジュースやシナモンを
使った美味しそうなものから、
カマキリの黒焼きを使った不味そうなもの
まで多種多様よ」
「カマキリ!それは僕には使わないでね」
リリは真っ赤な顔になった。
「馬鹿!誰がトーチなんかに!」

僕は灯一。灯台守の灯一。
皆んなからはトーチって呼ばれてる。
カマキリなんて、一般的に不味そうという
意味で使ったんだけど、
リリまだ怒ってるかなあ。

9/19/2023, 11:55:09 AM

10代。
大好きなバンド。
地元でのライブ。
奇跡の1列目ど真ん中。
初めて買ったシングルの曲。
ギターソロを足にしがみついて聞いた。

あの時ほど時間よ止まれ と
思ったことはない。
私の人生の間違いなくハイライトのひとつ。
懐かしいな…

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