ことり、

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傷ついてないふりも、疲れたな。

実家から帰る高速バス。
窓の外に広がる田園風景。
季節ごとの田んぼを眺める良い機会だ。

だった。もう最後になるかもしれない。
親と同居してる姉の、 
介護の愚痴。夫の愚痴。仕事の愚痴。
田舎の愚痴…。
私をサンドバッグにして、
姉の日常は成り立っていた。
いつものように、姉が言うだけ言って、
あなたは独身で身軽で良いわねえ、
都会で気楽で。と

殺意が湧いた。
静かに言った。
私、お姉ちゃんのトイレの汚物入れ?って。

それからはよく覚えていない。
事務的にバスの予約をとって、荷造りして。
姉に反抗したのは初めてだ。

私は、親を、家族を、捨てたのだろうか。
それとも、捨てられたのだろうか。

窓から見える景色が滲む。
運転手さんがちらちらこちらを見ている、
ような気になる。
何だと思われてるのだろう。失恋?
んなアホな。

次は〇〇バスターミナル、終点です

さあ、切り替えよう。
独身で身軽な、都会の気楽な日常だ。
バスを降りると、雑踏に紛れる、
ただの旅行者。ガラガラ引いて、
お家に帰ろう。私だけのお家に。

9/25/2023, 3:39:16 PM