君は僕を見つけて笑う。
いつでも僕と君は一緒だった。そのせいで学校で誤解されることも多かった。
僕たちは付き合ってる訳ではない。ただの僕の片思い。
君はきっと僕のことが好きな訳では無い。
ただ、幼なじみとして仲良くしているだけ。
そんな君が僕より先に居なくなるなんて思ってもいなかった。僕が道路に飛び出して跳ねられそうになったところを君が助けた。僕のせいで君はこの世界を去ることになった。
今までの楽しかった日々なんてほんの一瞬で消えた。
君の笑顔が忘れられない。
「またね」って言えなかったな。まぁ言わなくてももう君は会ってくれないよね。僕が殺したようなものなんだから。
『ありがとう』
その一言だけで僕は救われた。
生きていてよかった。
そう思った。
その反面、死のうとしたことを悔やんだ。
僕が死んだら、誰か悲しむのか。
それは分からないけど何故か死んでは行けない。
そんな気がした。
だから、もう少し生きてみようと思う。
『ありがとう』の手紙を繋いで。
『大きくなったら結婚しようね』
その一言で僕の恋は始まった。
あの子はまだ僕のことを覚えているのだろうか。
まぁ、たとえ忘れていても無理やりにでも結婚するんだけど。あの子が自分で言ったんだから仕方ないよね。
僕はあの子がくれたラベンダーの花を見ながら、あの子のことを思い出す。ラベンダーの花言葉は『あなたを待っています。』
その言葉の通り、待っててね。今迎えに行くからね。
母が亡くなったのは、9月のことだった。
母は10年くらい前から病気で、ずっと、病室にいた。
その日は、家族全員で、お月見をしていた。
『綺麗だね』
母のその言葉はとても優しい声だった。
今も時々、月を見るが、あの日のように輝いては見えない。
あの日だけはとても綺麗だった。
それが何故か、今ならわかる気がする。
お母さん。
僕は頑張ってるよね?
僕は、ちゃんとできてるよね?
そう思って、僕は空を見上げる。
今日は、あの日よりも月が綺麗なような気がした。
この恋は叶うのか
僕は分からない
でも君ならわかる
好きだよ
伝えたら終わってしまう気がして言えなかったんだ
やっと言えたよ
あー。
今日はやけに空があおいなぁ。
僕の長い恋が終わったのか