『大きくなったら結婚しようね』
その一言で僕の恋は始まった。
あの子はまだ僕のことを覚えているのだろうか。
まぁ、たとえ忘れていても無理やりにでも結婚するんだけど。あの子が自分で言ったんだから仕方ないよね。
僕はあの子がくれたラベンダーの花を見ながら、あの子のことを思い出す。ラベンダーの花言葉は『あなたを待っています。』
その言葉の通り、待っててね。今迎えに行くからね。
母が亡くなったのは、9月のことだった。
母は10年くらい前から病気で、ずっと、病室にいた。
その日は、家族全員で、お月見をしていた。
『綺麗だね』
母のその言葉はとても優しい声だった。
今も時々、月を見るが、あの日のように輝いては見えない。
あの日だけはとても綺麗だった。
それが何故か、今ならわかる気がする。
お母さん。
僕は頑張ってるよね?
僕は、ちゃんとできてるよね?
そう思って、僕は空を見上げる。
今日は、あの日よりも月が綺麗なような気がした。
この恋は叶うのか
僕は分からない
でも君ならわかる
好きだよ
伝えたら終わってしまう気がして言えなかったんだ
やっと言えたよ
あー。
今日はやけに空があおいなぁ。
僕の長い恋が終わったのか
君はあの日星になった。
僕を1人にした
『君に会いたい』
そんなこと言っても会えないことくらいわかっている
わかってるけど、君に会いたくて仕方がないんだ
この思い届いてるかな
君がいるところに
僕も今から行くよ
そう思って、僕は屋上から飛び降りた。
あ、君の所へは行けないみたい。
僕には好きな人がいる。
毎日、学校へ行く度、その子と話す。
それだけで幸せだった。
幸せだったのに、最近は君が欲しくてたまらない。
僕は弱いから、自分から告白することはできない。
好きなのに、伝えることすら出来ない。
伝えたい。
それが僕の本音。
『好きです。』
この言葉を伝えるのがどれだけ難しいことか。
きっと、君は知らない。