美しくて聡明な君は
僕なんかにはもったいない
僕はお金もなく学もないし
昔あった事故のせいで
顔も醜く歪んでる
君を幸せにできる甲斐性なんて
これっぽちも持ち合わせてはいないけれど
たったひとつだけ
君に捧げられるものがある
僕は
【これからも、ずっと】
変わらずに君のことを愛し続ける
それだけは絶対に約束できるよ
休憩時間も忘れるくらい
がむしゃらに頑張る日々が
毎日毎日続いていた
ようやく抱えていたものが一段落ついた
ある日の帰り道
ふと視線を上げれば
地平線へと沈んでいく
オレンジ色の夕日が目に止まる
きっと昨日も変わらずに
沈む夕日はそこにあったんだろうけど
いま自分の目に映った夕日が
見たこともないくらいに眩しく思えて
ああ僕はもう休んでいいんだと
自分に優しくしていいんだと
安心したら視界が滲んだ
【沈む夕日】
君の目を見つめるといてもたってもいられなくなった。
まるで自分の汚い部分が全て見透かされているようでたまらなくなったのだ。
だから君を殺した。
これでもう怯えなくて済むと思ったのに。
どうしてだろう。
君と同じ目をした人間がそこらじゅうにいるんだ。
【君の目を見つめると】
かつて星空の下で語り合った彼らは
今頃どうしているのだろうか
それぞれの道を歩み始めてから
長い間連絡さえもとっていないけれど
いまもこの同じ星空の下で
この同じ星を眺めながら
あの夜に語った夢を
変わらず追っているのだろうかと
そう思いを馳せていたら
小さな流れ星が
空からひとつこぼれ落ちた
【星空の下で】
ただっぴろい白い紙が私の足下に広げてある
いまからここに私は文字を書き記す
何を書こうかはすでに決めていた
私の手には私の背丈と変わらぬほどの大きな筆
たっぷりの墨を含ませて
えいやっと意気込んで筆を紙へと置く
右へ滑らせ次に左
ここはしっかりはねて
ここはしっかりとめる
頭の中ではそうシミュレーションしてあったのに
実際の線は何とも歪で
美しさからは遠くかけ離れていく
それでも一度書き始めたら止まることはできない
私は理想とは違う線を
それでも精根尽くして書ききった
できあがりはやはり想像していたのとは全然違う
けれど
私はこの全然違う線をそれでいいと思った
それがいまの私にできること
いまの私の全てなのだから
【それでいい】