1つだけ迷ってることがあるんだ。
ある夜そんな悩みを抱えた友人から電話が掛かってきた。
聞けば友人は今度の週末に初めて出来た彼女と初めてのデートに行くらしい。
その彼女はスイーツが大好きで、できれば美味しいと有名なお店を何軒か一緒に回りたいという。
彼女はどちらかと言うと見た目が可愛らしい洋菓子よりも、優しい甘さの和菓子系が好きと言っていて、その中でも餡子を使ったものがいっとう好きということらしい。
友人はものすごく真剣な声音で、最後は鯛焼きの専門店と今川焼きで有名なお店のどちらに行けばいいかと尋ねてきた。
なんだそんなことか。
僕はそこでいったん思考をリセットする。
なんだそんなことか。
そんなしょうもないことで、こいつはこんな必死な様子で電話をしてきたのか。
僕は息を吸い込んだ。
そして思いっきり言ってやる。
どっちだって同じだろ!
どうでもいいわ、そんなこと!
いま何時だと思ってやがる!
安眠を貪っていたはずの僕に起きた、深夜2時のある夜の出来事である。
【1つだけ】
大切なものが何もないから
大切になるものが欲しかった
でもそう願ったって
そんなの全然わからなくて
わからないから苦しかった
いまはたぶん大丈夫
大切なものはもうすでに
自分は持っていたんだって
気が付けたから
【大切なもの】
「今日は嘘をついていい日なんだってさ」
「それならわたしあなた伝えたいことがある」
「なに?」
「わたしあなたにずっと嘘をついてたの」
「ん? つまり……、ずっと真実を言ってたってことだよね?」
「だけど、今日だけは嘘をつくのをやめることにする」
「ん!?? じゃあ今日以外は全部嘘をつくってこと!?」
「あなたのことこれからもずっと大好きだよ」
「いや、どっち!?」
【エイプリルフール】
幸せになりたい
悩みが何もないとか
楽に日々を過ごせるとか
そういう幸せも素敵だけれど
できれば悲しみを越えた先にある
幸せに辿りつきたいと
そう思う
【幸せに】
顔を合わすたび
何気ないふりをして
君は微笑んだ
強がる君に気付きながらも
僕は何気ないふりをして
気付かない僕を演じる
強がる君も悪くないけど
いつでも寄り掛かってくれるようにと
何気なくを装って
僕は君の側を離れない
【何気ないふり】