かけがえのない日々がいつまでも続くように
そう願いながら今日も戦ってる
平穏な日常を価値あるものだって分かるのは
いつだって困難に立ち向かい
感謝できる者なんだ
【平穏な日常】
君が銃口を向けた先には
君にとっての敵がいる
けれど
君にとってのその敵は
君の父親をかつて助けた恩人の
その息子かもしれない
あるいは
君にとってのその敵は
君がいつか愛する誰かにとっての
大切な兄弟かもしれない
そんなことを知らぬまま
その引き金を引くなんて
引かなければならない状況になるなんて
それはなんて不幸なことなんだろう
願わくばどうか
尊敬する父の恩人へ
愛する伴侶の兄弟へ
冷たく固い銃口ではなく
このあたたかな手の平を
互いに差し出していける
そんな世界になってほしい
【愛と平和】
道の途中で立ち止まる。
振り返るとそこにはたくさんの思い出とつながり。
あの日の出会いがあったから、あの時の僕は誰かに優しくできた。
あの日の苦労があったから、あの時の僕は襲いかかる困難に立ち向かえた。
あの日の後悔がまだ拭えないから、今も僕は悩みながら考える。
もう同じ場所に帰ることはできないけれど。
あの日に生まれることができたから、僕はこうしてここにいる。
【過ぎ去った日々】
「この世にお金より大事なものは確かにあるよ」
今は使われていない古ぼけた倉庫の中。
薄暗い倉庫内の中央に置かれた簡素なパイプ椅子。そこに座った男は、静かにそう告げた。
「でもさ、お金がないとお金より大事なものを守ることができないのも確かなんだよね」
カチリと不穏な音が響く。
男が右手に握った銃を、すぐ眼前で両手を縛られたままひどく項垂れ、正座をしている別の男の頭に、ぐいっと押し付ける。
「そして君は、そんな僕のお金に手を出して持ち逃げしようとしたんだ。つまりさ、いま僕が君に向けているこの銃は、いわば正当防衛みたいなものなんだよ」
男は冷たく言い放つ。
「だって君は僕の大事なものを、危うくしたんだから」
男は躊躇いなく引き金を引いた。
衝撃と共に男の眼前にどさりと重いものが落ちる。
「あーあ、まったく・・・・・・」
男は心底嫌そうに呟いた。
「だから嫌いなんだよ。金に目が眩む奴は」
男は椅子から立ち上がる。背後に控えていた幾人かの部下を呼び、散らばった諸々を片付けておくようにと命令した。
「ボス、この後はどうなさいますか?」
部下の一人が小声で聞いてくる。男はくるりと首だけで振り返った。
「もちろん帰るよ。家族の元にね」
車、回しといて、と言うと同時に、窺いを立ててきた部下がすぐさま車を取りに先へ駆けていく。
男は持っていた銃を上着の内ポケットにおさめると、颯爽とした足取りでその場を後にした。
【お金より大事なもの】
月明かりに照らされた
夜道をひとり
寂しく歩く
そうしていたら
夜空に浮かぶお月様が
頭上から語り掛けてきた
ひとりじゃないよ
見守ってるよ
【月夜】