Yushiki

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2/20/2023, 1:30:45 PM

教室の片隅で。
その日彼女は一人だった。
窓際の一番後ろにある自分の席に座りながら。
やけに遠くを見るようにして空を眺めていた。

僕はそんな彼女の横顔を。
遠い距離から見遣り。
その瞳の奥に微かに揺れた静かな悲しみを。
秘かに読み取っていた。

僕はふと思って。
彼女に留めていた視線を彼女が見つめる空へと向ける。
窓の外には澄んだ青い空が。
突き抜けるようにどこまでも続いていた。

その途方もないほどの空の広さを見ていたら。
何故だか急に不安になって。
胸がぎゅっと締め付けられた。

もし彼女のなかに去来している感情も。
こんな形であるのなら。

勝手な都合ではあるけれど。
僕は彼女に寄り添いたいと思った。



【同情】

2/19/2023, 12:04:54 PM

 ぐしゃり、ぐしゃりと、枯葉を踏む。
 苛ついた心を叩きつけるように、強く踏みつける。

 おさまらない怒りはどうしようもなくて、あまりの悔しさと情けなさに涙まで滲んできた。

 怒りの魔人と化した私が、傍若無人に闊歩する。それでも大地に敷かれた枯葉の絨毯は、ぐしゃり、ぐしゃりと、小気味よい音を鳴らし続けた。


 頑張れ、頑張れ。
 行け行け、GO、GO!


 まるで荒んだ私の気持ちを、鼓舞するみたいに。



【枯葉】

2/19/2023, 6:48:49 AM

遠くの地へと去る君へ。
君と過ごしたいくつもの日々が、僕の人生を色鮮やかなものへと変えました。
君と過ごした今日はもう帰らないけれど。
さようなら。
どうかお元気で。

そしていつかまた。
会う日まで。



【今日にさよなら】

2/18/2023, 7:32:12 AM

 あれ、いいな。あ、あれも好き。
 これすごくかわいいし、これなんか逆に奇抜すぎてウケる。

 彼女と一緒のショッピング。
 僕の彼女は好奇心が旺盛で、いつも目にしたあらゆるものに興味を持つ。

 これ終わったら前々から気になっていた中華のお店に行かない?
 あ、でも、さっき見かけたイタリアンのお店も気になるな。

 何事にも冷めていると他人から指摘される僕にとって、彼女のこのバイタリティは尊敬に値するほどだった。

「ねぇ、今日いっぱい連れ回しちゃうかもしれないけど、いいかな?」
「もちろん。どこへでもお供いたしますとも」

 そう返せば、やったぁと彼女が手を叩く。
 またお気に入りの店が増えちゃいそうと、満面の笑顔を溢す彼女の姿が、僕にとっての一番のお気に入りであることは内緒だ。



【お気に入り】

2/17/2023, 5:06:06 AM

誰よりも君を想う。

君がいなくなった世界でこれからもまだ生きていくために。
そんな独り善がりを今だけは許して。



【誰よりも】

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