帰燕[Kien]

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1/24/2025, 2:43:19 PM

作品No.299【2025/01/24 テーマ:やさしい嘘】

※半角丸括弧内はルビです。


 わかっていた。いつか、こうなることは、日々思い描きながら、私はあなたの隣にいたのだから。
 ずっと一緒にいるなんて、無理なことだと、私には最初からわかっていた。それでも、信じていたかった。
 こうなることは、わかっていたのに。
「ゆるしてほしい……」
 私が、私自身の手で、あなたの命を奪ってしまった。もう戻らない、どうすることもできない、あなたの亡骸(なきがら)が、私の腕に残っている。
 きっと、あなたはわかっていたのだろう。私に殺されるということを、予感していたのだろう。
 耳に残るのは、私への恨みなど欠片もない、あなたの最期の言葉だった。それは、あなたの最期の嘘なんだろう。
 美しいまま、綺麗なまま、私の中に残りたいからこそ吐いた——やさしい嘘なのだろう。

1/23/2025, 2:39:24 PM

作品No.298【2025/01/24 テーマ:瞳をとじて】


 瞳を閉じて——が、間違っている表現だと何かで見てから、この表現を使うのがこわくなった。
 そりゃ、閉じるのは瞼で、瞳ではないことくらいはわかるけれど。
 あの有名な歌がすきだから、それを全否定してしまうのは、なんだかこう……かなしいというか、寂しいというか、モヤモヤするんだ。

1/22/2025, 3:53:00 PM

作品No.297【2025/01/23 テーマ:あなたへの贈り物】


私があなたに
贈れるモノはなんだろう

それは
あなたにとって
どれほどの価値をもつモノなんだろう

1/21/2025, 2:36:34 PM

作品No.296【2025/01/21 テーマ:羅針盤】


方位を示してくれるのが
羅針盤

だけれど
私には不必要だろう

どちらが東か
どちらが西か
どちらが南か
どちらが北か

それがわからない私には
あってもきっと
役に立たない

ただクルクルと回すだけ

1/20/2025, 2:32:54 PM

作品No.295【2025/01/20 テーマ:明日に向かって歩く、でも】


 私は、生きている。今を、瞬間を、重ねて連ねて、ここにいる。
 見えない明日に向かって、一瞬一瞬を生きている。そこに何があるかもわからないまま、自分のことも自分で決めきれないまま、ただ過ごしている。
 この命が、終わるのが、尽きるのが、いつになるかもわからないのに。変わらない明日がずっとあると信じ続けたままで。
 私は、明日に向かって歩いている。

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