帰燕[Kien]

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1/19/2025, 2:53:47 PM

作品No.294【2025/01/19 テーマ:ただひとりの君へ】


私にとっては
きみが
ただひとりのきみだよ

この世界のどこにも
きみの代わりができる存在なんて
ありはしない

だから

後ろばかり見るのも
底ばかり見るのも
別にそれはいいけどさ

きみ自身のことも見てやってほしいな

1/18/2025, 2:23:39 PM

作品No.293【2025/01/18 テーマ:手のひらの宇宙】


 この手の中に、骨やら、血管やら、血液やら、神経やらが、通って、流れて、私を形作っている。
 それはまるで、宇宙の神秘に似ているような。
 なんて。

1/17/2025, 4:07:53 PM

作品No.292【2025/01/18 テーマ:風のいたずら】


「やめなさい、マリー・バラッド!」
 その声に、窓際の席のオレは目を覚ました。今は授業中、だが、つい居眠りをしていたようだ。
 窓の外には、天然芝が引かれた実践授業用の訓練場がある。そこではちょうど、基礎クラスの授業が行われていた。
 そして、まさにその渦中にいる人物を見て、オレは完全に覚醒した。
 マリー・バラッド——問題児と名高い、オレの幼馴染みだ。実力も才能もあるのに、それをいたずらに使ったり、わざと暴発させたりと、色々やらかすから、彼女はずっと基礎クラスに留年している。ついた呼び名が、【万年基礎クラス】、【基礎クラスの守護神】、【学園一のいたずら姫】——である。
 一体今回は何をしでかしたのか——そう思って目を凝らして、オレは事態を把握した。
 訓練場の中心で、グルグルと渦を巻いて回転しているのは、竜巻だった。オレのいる四階の教室からも確認できるそれは、なかなかな大きさだった。
「聞いているの、マリー・バラッド!」
 怒鳴られてなお消さないということは……これは、マリーお得意のいたずらのようだ。消せないわけではない。あえて、消さないでいるのだ。
 そのとき、竜巻がグッと背を伸ばすように高さを増した。どうやら、マリーのいたずら好きが暴走しているらしい。
 オレはため息を吐いて、スッと手を上げた。
「先生」
 この学園で、マリーの暴走を止められる者は、少ない。それほどに、マリーは優れた魔法使いだ。もっとも、それをちゃんとしたことに使ってくれれば、だが。
「ちょっと、あれを止めてきてもよろしいでしょうか?」
 オレなんかが出張らなくても、マリーは自分の力でなんとかできる——それがわかっているのに、オレはわざわざ名乗りを上げた。まるでそれが、課された義務かのように。

1/16/2025, 3:20:09 PM

作品No.291【2025/01/17 テーマ:透明な涙】


 涙が、透明じゃなく、いろんな色だったらおもしろいのに。
 哀しい時の涙、悔しい時の涙、楽しい時の涙——その時々で違う色をしていたら、自分の感情も、他人の感情も、わかるんじゃないかな。
 ……知りたくなかったことも知っちゃいそうだし、知られたくなかったことも知られちゃいそうだけど。

1/15/2025, 2:59:31 PM

作品No.290【2025/01/15 テーマ:あなたのもとへ】


あなたのもとへ飛んでいきたい

飛ぶための翼も
何もないけど

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