作品No.184【2024/10/01 テーマ:たそがれ】
黄昏の空がすきだ
すぐに失われてしまうあの色に
とても焦がれる
光が退き
闇が迫る
あの短い時間の空の色
美しい 空の色
作品No.183【2024/09/30 テーマ:きっと明日も】
きっと明日も変わらない。同じ一日の繰り返し。何度も何度も。
そう、疑ってないんだよね。
見えない明日が、ずっと繋がってて、それが当たり前に自分の前にあるって信じてる。
それは、いつだって、唐突に失われてしまう脆さがあるのにね。
作品No.182【2024/09/29 テーマ:静寂に包まれた部屋】
あなたのいない部屋。
私一人になった部屋。
なんだか静かで、静かすぎて、落ち着かない。今までは、音に溢れていた気がするのに。
「ああ、そうか」
話すにしろ、聞くにしろ、それは誰か相手がいるからこそ成り立つのだ。私だけになった今、私が吐く言葉など、虚しいものでしかない。
ため息が重く、部屋を満たすだけだった。
作品No.181【2024/09/28 テーマ:別れ際に】
あなたはいつも気付かない。
私が別れ際に、〝さよなら〟しか言わないことを。
あなただけがその後に、また次の約束を結ぶ言葉を口にすることを。
本当に鈍感。本当に愚か。
あなたは私に会いたいのかもしれないけれど、私は違うわ。私が次の約束を自分からしないのは、そういう意味なのに。
あなたは気付かない。
私が、あなたに会いたくないことに気が付かないのね。
作品No.180【2024/09/27 テーマ:通り雨】
※半角丸括弧内はルビです。
「最っ悪!」
言いながら、杏妃(あずき)は雨に濡れたアスファルトを踏みつける。その度に、水が跳ね、杏妃の足を濡らした。
「さっきまで晴れてたじゃん、ふざけんなよ」
独り言を呟きながら、杏妃は駆ける。
自宅を出る前、よく晴れた青空を確認していた杏妃は、傘を持たずに家を出ていた。顔も髪も服も、どれもバッチリ決めてきたというのに、突然の雨でそれらは完璧ではなくなっていた。自信満々に、鏡の前で決めポーズまでして家を出てきた杏妃にとって、この雨は最低最悪のモノでしかなかった。
「……って」
杏妃は立ち止まり、空を見上げた。まだ雨は降り落ちているものの、灰色の曇り空から一転、空はまた青さを取り戻していた。
「言ってるそばから晴れてるし!」
喜べばいいのか、怒ればいいのか、わからなくなりながら、杏妃は学校への道を急いだのだった。