作品No.169【2024/09/16 テーマ:空が泣く】
絶え間なく、降り続く雨。
全てを、濡らしていく。
どこにも行けない私も、変わらない現実も。
何も、できなかった。私には、何も。
守ることも、救うことも、何一つとしてできなかった。
この空は、きっといつか晴れるのに。この雨もいつかはあがるのに。
私の心は、晴れることはない。
作品No.168【2024/09/15 テーマ:君からのLINE】
きみにLINEを送って——十年くらい経つのかな。未だに返事がない。
LINEだけじゃない。メールにも返信はないし、かけた電話にも出ない。
もしかして、もうきみは——そんなことを考えてしまう。
ねえ。私は今も待ってるよ。きみからの、何かしらの連絡を。
作品No.167【2024/09/14 テーマ:命が燃え尽きるまで】
私のこの命が尽きるまで、あなたの傍にいようと決めたのに。
あなたはきっと、この未来を予見していたのだろう。そういう能力をもっていたこともあるが、そうでなくとも、あなたはこの未来をわかっていたのだろう。
だから、私を遠くへ追いやった。あなた自身の手の届かないところへと。その結果、私は、ここに立っている。
視界の遥か先、炎に包まれる城は、つい先程まであなたと私が共に過ごした場所なのに、今ではまるで地獄絵図だ。
「私は、また……」
どうして、私が生き残る? あなたを守らなければならないはずの私が、どうして守るべきものが失われるのを、なす術なく見ている?
そんなことは、わかりきっている。
「あなたに助けられた」
燃え尽きなかった命が一つ、目的をなくして揺れていた。
作品No.166【2024/09/13 テーマ:夜明け前】
人が滅多にとおらない公園で、充電式のキーボードを弾くのが、ここ数年の日課になっている。雨が降っていない限りは、毎日だ。
誰も来ないから、聴いてくれる人もいないけれど。
夜が更けてから、朝が来るまで、休憩を入れつつ気ままに弾くのがすきだ。
もうすぐ、夜が明ける。太陽が、空を照らし出す。
この景色に、この空気に、相応しい曲を。
私の指は、気の向くままに、音を奏で出した。
作品No.165【2024/09/12 テーマ:本気の恋】
本気の恋だと
思っていた
多分 違ったのかもしれない
今も忘れられないほどには
未練タラタラなのに
あの恋ですら
なぜだか本気のものとは
今は思えないのだ