作品No.152【2024/08/30 テーマ:香水】
※半角丸括弧内はルビです。
今までに買った香水で思い出深いのは、TOBALI (トバリ) の「White Storage(ホワイト ストレージ)」だろうか。
香水の量り売りをしているサイトで購入したものだったのだが、これがとても品のあるすてきな香りだったのだ。私の貧相な語彙力では、それ以上伝えられないのがなんとも残念であるほどに、その香りは私を虜(とりこ)にしたのだった。
TOBALIはブランドが終了し、この香水がもう手に入らないのも、また残念なことであり、より惹きつけられる魅力だと思う。
作品No.151【2024/08/29 テーマ:言葉はいらない、ただ・・・】
言葉はいらない。ただ傍にいてほしい。
でも、いつしかそれでは足りなくなる。
何か言葉がほしくなる。そしてそれは、私がほしい言葉がほしくなる、ということだと気付く。
あなたの感情など、どうでもいい。私がほしい言葉を、あなたに言ってほしいと願う。そして、それがカタチにならなかったとき、怒りが込み上げる。
なんて、身勝手なのだろう。どうしようもなく、愚かだ。
私がほしい言葉がほしいなら、一人芝居でもしてればいいのに。
作品No.150【2024/08/28 テーマ:突然の君の訪問。】
二十三時も過ぎた頃。突然にきみが、私を訪ねてきた。
他愛もない話を、日付が変わってもし続けて、やがてきみは帰っていった。「また」と、声をかけたのに、それには答えないきみに、違和感をもったのに、知らぬふりをした。何度も振り向いて去っていくその背中が、やけに遠く思えたのだが、私は気にしないことにした。
朝になって、きみが永遠にかえらないと知ったとき、私は悟った。
あれはきっと、別れを言うための訪問だったのだ。
作品No.149【2024/08/27 テーマ:雨に佇む】
※半角丸括弧内はルビです。
突然の雨に、那央羽(なおは)は立ち尽くしていた。
傘はない。合羽はない。それなのに、濡れて帰るのはしたくない。となれば、雨が止むか、小降りになるのを、こうして待つしかないのだ。
(漫画とかアニメなら、誰かが傘を貸してくれたり、「一緒に入る?」なんて声をかけてくれたりするんだろうけど)
ここは、現実だ。そして、那央羽は、自分がそれほど庇護欲をかきたてられる存在だとは思えなかった。女子にしては高い身長も、かわいいとは思えない顔も——那央羽の外見は、他人に守りたいと思わせられるものではなかったのだ。
「仕方、ないか」
呟いて、那央羽は空を見上げる。
雨は止むことなく落ち続けていた。
作品No.148【2024/08/26 テーマ:私の日記帳】
いつしか
紙のノートではなく
スマートフォンのアプリへと
私の日記帳は変わった
それは
編集するのは楽だけれど
いつなくなるかしれない恐怖が
ついてまわって
それでも私は
実在しない日記帳に
せっせと記録をつけている