橘 チコ

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12/15/2023, 2:43:32 AM



小さな鞄を肩から斜めにかけて、左手に傘を持ち、座席から立ち上がった。
朝から降っていた雨はもう止んでいた。

駅から出ると、町の木々には色とりどりのイルミネーションが装飾されていた。

立ち止まり、変わってしまった町並みを見つめた。

ああ、とうとう帰ってきてしまった。

光の輪郭は程よくぼやけて行き、何とも言いようの無い美しさになった。

私はゆっくりと歩き出した。

11/14/2023, 11:42:42 AM



夏の暑さを引きずったままの日差しを睨むように顔を上げると、空は少しだけ遠く見えて、今年は秋が来ないのかと思っていたけれど、季節はちゃんと移ろうのだなと思う。
当たり前だけれど…。

そう言えば、だいぶ前に金木犀の香りがしていたのを思い出した。

買い物帰りに遠回りして、銀杏並木を見に行った。
気付かない間に、だいぶ黄色くなっていた。

突然駆け抜けていった秋風に、少しだけ寂しくなる。

早く帰って猫を愛でよう。

8/19/2023, 10:01:44 AM



『 空模様 』




1人で見る空も

誰かと見る空も

きっと

そんなに違いは無いけれど



泣きそうな夕焼けも

孤独な満月も

きっと

忘れてしまう時が来るけれど



いつか見た その空は

きっと

いつかの私に

そっと

語りかける





8/9/2023, 11:15:56 AM



〝上手くいかなくたっていい〟

そんな筈はない。
時を費やし、努力した結果が、上手くいかなくたっていい訳ないのだ。


上手くいかなかった今を、無駄にするか糧にするかは、時が経たなければ分からない。

失敗や敗北から学ぶ事も沢山ある。
無駄にしたと思った事が、全く関係の無いところで役立つ事もある。

でも、〝上手くいかなくたっていい〟なんて言葉は、言って欲しく無いし言えない。

結果が全てじゃないのは、未来の自分であって、今の自分では無いのだ。




8/6/2023, 7:50:19 AM


ゴスッ…ゴスッ…
けっこうな衝撃を頭部に感じて目を覚ました。
部屋はうっすらと明るくなっていた。

「うぅぅぅ〜…もう少しねむ…」
ゴスッ…ガブッ…

「痛ぁぁぁ〜」

最近、我が家の一員となった雌猫のララだ。
先輩猫のロロはヘソ天で爆睡中だ。

ララは食いしん坊でツンデレ。
お腹が空くと私の布団へ来て、スリスリゴロゴロ。
その後は頭突き、その後は甘噛み。

ここまでされると寝てなどいられないので、モッサリと起きる。
フローリングの床にヘソ天で寝ているロロを跨いで、トイレへ行き、顔を洗う。

猫達のごはんを用意して、猫達のトイレ掃除。
その頃にはロロも起きて来る。

ロロはオットリさんで甘えん坊。
ごはんよりも遊んでいたいタイプ。
暑がりなので、夏場はめったに布団へは来ない。

さて、毎日寝不足で愚痴も言いたくなるのだが、そんな毎日が嫌いではない。



お寺の鐘の音が、5時を告げた。

今日も平和な一日でありますように。


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