つまらないことでも
話をしよう
意味が無くたって良い
オチなんて無くたって良いから
つまらないことでも
話をしよう
君の事を知りたいから
「早く家に帰りたいよぉ」
母がかすれた声で言った。
「こればっかりは、自分じゃ決められないでねぇ」
療養型病院に入院して、1年が過ぎた。
白いだけの病室で、生命が少しづつ蒸発して行くように、母は小さくなって行った。
それでも、週に1回の面会では、休み休み1時間程、たわいもない会話をした。
我慢強く気丈な母だ。
最後には、いつも同じことを言った。
私も、同じことを答えた。
死なせてあげられなくてごめん。
心の中で謝った。
私は雨女だ。
卒業式も、成人式も、雨だった。
そんなのは偶然で、科学的根拠は何もない、と言う人も居るだろうが、一人旅も高確率で雨になるのだから、真面目に雨女なのだ。
だがしかし、雨が降って欲しい体育祭やマラソン大会は晴れるのだから、全く使えないスキルだ。
そんな私に転機が訪れた。
超強力な晴男を好きになってしまったのだ。
そいつは、大学のゼミの先輩で、私とは全くの正反対で、揚げ足取りの嫌なヤツなのだが、観たい映画だけはピッタリ合うのだ。
天気予報では、台風の影響で今夜からしばらく雨らしい。
それでも何かの間違いで、もし明日、万が一、晴れたとしたら、告白しようと思っている。
幸せを一つ拾う度に
心のパズルが埋まって行く
わたしが失くした
わたしが置き去りにした
わたしが捨てた
わたしがずっと欲しかった
幸せを一つ拾う度に
怖くなる
だから 一人でいたい
今まで飼った動物は、犬、猫、うさぎ、ハムスター、モルモット、ジュウシマツ、インコ、カメ、ザリガニ、金魚、ナマズ、メダカ…
幼児期以降の人間以外の動物は皆、澄んだ瞳なのではないだろうか…?
傍らに眠る猫をジーッと見ていると、視線を感じたのか突然起きて振り返った。
何タダで見てるのよっ?
チュー◯を献上しなさいよっ!
って顔だ。
全くツンデレのツン9割なのだが、それでもやっぱり瞳は澄んでいるように見える。
嘘が無い…からだろうか…?